利益を生み出す「放任主義経営」 刃物メーカー5代目の経営戦略

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利益を生み出す「放任主義経営」 刃物メーカー5代目の経営戦略

  • ISBN:9784344947788

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内容説明

放任すると、業績は上がる

10年で年商3倍を達成した創業100年を超える老舗刃物メーカーの5代目社長が、自らの経験から導き出した組織マネジメントと業績向上の秘訣を明かす。

米フォーブス社による「世界で最も働きがいのある会社ランキング」では、100位以内に入った日本企業は33位の本田技研工業を筆頭にわずかに4社。仕事への熱意などを示す社員のエンゲージメントにおいても「2023年版ギャラップ 職場の従業員 意識調査」によれば、エンゲージメントの強い社員の割合は、グローバル平均が23%であるのに対し、日本はわずか5%で、調査対象125カ国中124位となっています。
社員のやる気を引き出し、業績向上につなげようとする経営者は少なくないものの、働きがいや熱意につながる組織改革を成功させるのは簡単ではありません。

著者は鎌倉時代から刀の町として栄えた岐阜県関市にある創業100年を超える老舗刃物メーカーの5代目社長です。米国留学後に一度はNECに入社したものの、実家の家業を継ぐべく福田刃物工業に戻ります。しかし創業100年を超える老舗企業の社内には新商品の開発や業務の改善意識といったものはなく、どの部の社員にもモチベーションの低さが目に見えていました。そこで著者は「自分がこの会社を変えよう」と意気込んで、自ら先頭を切って改革に臨んだものの、社内が変わることはありませんでした。

転機は名経営者として知られるある人物との出会いでした。彼の「社長は実務をやるな。社員を感動させることが仕事だ」という言葉に感銘を受け、著者は経営方針を大きく転換しました。社員に業務を任せ、彼らのやる気を引き出すことに専念することにしたのです。

営業部では、売上目標やノルマを設定せず、社員自らが顧客開拓を行えるようにしました。製造部や品質保証部でも、社員に業務を任せると、みるみる生産性が向上し、経常利益率は常に10%を超えるようになりました。
また、社員の発案により新たな超硬合金包丁が生まれ、発売2年目には生産計画の2倍を超え、納期が1年以上先となる大ヒット商品となったのです。
こうして社員に任せる経営に転換したことで、会社は10年で年商3倍の企業へと成長しました。

本書では、著者が放任主義に至った背景と、社員に任せることで社内にどのような変化が起きたのか、具体的な事例と合わせて紹介しています。組織改革に悩む多くの経営者の参考になる一冊です。

目次

はじめに
第1章 縮小する国内市場、人財不足の慢性化、技術の断絶……
窮地に立つ中小製造業の後継社長
30年以上も低迷を続ける中小製造業
人財不足、熱意の低下、技術の断絶
後継社長が抱える課題
親子間の溝
経営者の過干渉が引き起こす会社の低迷
最初から恵まれた環境にある後継社長
第2章 先代が築いた経営基盤を活かし、自走する組織にする
後継社長の王道は、利益を生み出す「放任主義経営」
刃物の町、関市の歴史
日本初、世界初を成し遂げた創業者たち
キッパリあきらめて父が経営する会社に入社
「子どもの塾代が払えないかもしれない」と言われたショック
後継社長とは何者か……放任主義の原点となった出逢い
「放任」という魔法で10期連続増収増益
社員のやる気を引き出すというテーマ
組織が自走するための条件
「放任≠信じる」
年間休日を130日へ
工場もすべて社員に任せる体制
放任すれば売上、利益が増えるのは当然
放任の土台がある後継者
戦略も戦術も社員が考え実行
社員に任せるとストレスも低下
放任による社員同士の信頼関係の構築
第3章 放任から生まれる技術革新
日本初の超硬合金包丁「KISEKI:」誕生
断裁包丁で市場独占
超硬合金を使った日本初の包丁「KISEKI:」を発表
機械刃物と包丁に通じるコア技術
100年続く独自の特殊技術を応用
食べ物がおいしくなる「KISEKI:」
イノベーションを起こす自由な環境
社員主導の「改善」の取り組み
利益が出てこそ、イノベーション
技術者であり、経営にも向いている弟の存在
売上と利益を左右する見積もり業務
製造部門、技術部門でも社員主導
第4章 放任で実現できた非常識営業
独自の営業スタイルによる新しいマーケットの開拓
営業社員が描く年商50億円
刃物以外の新しい分野へチャレンジ
未来を決める自社の営業競争力
刃物7割、部品3割
会社の運命を変えた「直販」への切り替え
直接営業で顧客満足度が向上
若手が回す会社になる時代
一人ひとりが持つ独自の営業戦術
営業は完全自走集団
営業力で毎年過去最高の受注獲得
社員による全国地域密着型営業
第5章 人財採用は企業経営において最優先
自分で考え、アクションを起こす人財が会社を伸ばす
良い会社=毎年多くの人財を採用
100%正社員、社内一貫生産体制は勝つための必須条件
会社説明会と採用面接は社長も参加
最初から任せられる新人
大切な障害者雇用
第6章 やりたいことができるから組織は自走する
放任主義でさらなる成長ステージへ
消えていく社長の存在
社員がやる気になる改善
対等な関係を持つ社員と社長
我が社では無駄な経営理念
悪いときは経営者のせい、良いときは社員のおかげ
自分の本当の理想
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

黄昏のカーサ

2
会社経営は、難しい!自分で動くほうが簡単だが、限界もすぐきてしまう。経営者と労働者(社員)が一つになって会社を運営することは永遠の命題か。「放任主義経営」の考え方は参考になる。2024/10/30

Go Extreme

1
日本の課題: 国内市場縮小 人材不足 高齢化 経済縮小 消費減少 中小企業困難 投資不足 教育改革 技術断絶 組織構築と経営: 経営基盤 自走組織 自立チーム フラット構造 組織文化 継続的学習 技術革新と放任主義: 放任主義 自由市場 技術革新 競争 創造的破壊 企業役割 シリコンバレー 日本技術革新 社会格差 営業戦略: 非常識営業 放任営業 顧客信頼関係 自主性促進 成果評価 迅速意思決定 創造性 人材採用と育成: 競争力 組織文化 採用戦略 リクルーティングチャネル 選考基準 育成キャリアパス2025/03/13

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