内容説明
弟の訃報が届いたのは朝食後すぐのことだった。車で何度も轢かれて殺されたのだという。保安官のヴィクターは、弟とは憎しみ合った末に疎遠になり、12年近く会っておらず、悲しみは湧かなかった。だが唯一の肉親となった弟の10歳の娘から、真相を調べてほしいと頼まれる。ヴィクターは捜査中の少女殺人事件に取り組みながら、弟の死の謎へも踏み込んでいくが……。まっすぐで聡明な姪との交流と真実を追う旅路が、孤独な日常を送るヴィクターの灰色の人生を、切なくも鮮やかに彩っていく。実力派作家が贈る、一人の男の再生を描くミステリ。/解説=三橋曉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
338
全く存じ上げない作家さんだったけど掘り出し物。ミステリとしての骨格自体はシンプルすぎるかもしれないが、人物の描写と含蓄のある会話で読ませるタイプの小説。結構引っ張ったわりに弟との仲違いの理由がしょうもないことだったり、「再生の物語」との推奨文に反して、むしろ闇落ちしていたり、冷静に考えるとツッコミたい部分はあるのに、それを感じさせない重厚さがある。事件の真相というか、犯人の意外性があまりにもなさすぎて、そこでかなり損をしている。S・A・コスビーが好きな人なんかにはオススメできる一冊。2024/10/07
ナミのママ
78
1992年ジョージア州。主人公はユニオン郡の保安官ヴィクター。疎遠になっていたデイド郡で保安官をしている弟、フランクの訃報が届いた。フランクの娘で10歳のジェニファーとの出会いから弟の死因を調べ始める。一方、管轄内では少女への惨殺な事件が起こり捜査が始まる。600ページ弱のこの作品、ストーリーはこの2つ、展開は決して早くない。しかしその肉付けが豊潤だ。弟に対する思い、惨殺な殺人事件への怒り、悔恨。ゆっくりと味わいながら読んだあとには等身大のヴィクターが現れる。彼の最後の決断はすごかった…。2024/10/06
タツ フカガワ
68
ジョージア州ユニオン郡保安官のヴィクターのもとに弟フランクの訃報が届く。12年間絶縁状態だった弟は、車で故意に何度も轢かれて殺されていた。同じころヴィクターの管轄地で行方不明だった10代女性の他殺死体が発見され、やがて連続殺人事件の様相を呈してくる。二つの事件の真相を追うミステリーは、孤独のうちに生きてきた男ヴィクターの再生の物語でもあって、とくに終盤が圧巻。書き出しの一行からすっかり引き込まれました。2024/11/19
オーウェン
55
初読み作家。 保安官のヴィクターは疎遠になっていた弟フランクが車で轢かれて殺されたことを知る。 そのフランクの娘がヴィクターに真相を明かしてほしいと言われる。 シンプルな筋立てではあるが、無駄がない人物や描写。 そして連続少女殺人事件が絡むことで、ヴィクターの弟への想い。 そして父性が湧く瞬間への反抗。 だからこそ犯人への怒りが予想以上に出る。 殺人が起きながらも穏やかな描写が多かっただけに、この意外な反転には驚いた。 ラストのやり取りに安堵した。2024/11/12
stobe1904
47
【ジョージア州を舞台にしたミステリ】舞台はインターネットもスマホもない時代のジョージア州。保安官のヴィクターは疎遠だった弟が車で轢き殺されたと知らせを聞くが、弟とは険悪な関係だったこともあり家族を失った悲しみにひたることはなかったが…。家族のあり方と連続殺人事件を叙情的なハードボイルドタッチで描くスタイルはとても好み。最終盤にかけての盛り上がりとアクションに読む手が止まらない作品。キャリアがある作家なので、もっと日本に紹介していただきたい作家の一人。★★★★★2025/01/20
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