内容説明
時は寛政の改革の頃。川柳句集の板元の若旦那・花屋二三(はなやにさ)は、馴染みの芸者・卯兵衛との逢引の折に見た、謎の絵師が描いた強烈な役者絵に魅入られる。二三は絵に残された落款を頼りに、その絵師・写楽の正体を探っていくと、卯兵衛の失踪など身辺で次々と奇怪な出来事が起きてしまう。二三はそれらの謎も追う中で、蔦屋重三郎、十返舎一九、葛飾北斎、松平定信たち有名人と関わっていく。やがて、幕府と禁裏を揺るがす大事件に巻き込まれることに……。浮世絵、川柳、黄表紙、芝居、手妻、からくりなど江戸の文化や粋に彩られた、傑作長編ミステリ。/解説=澤田瞳子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
geshi
27
歴史小説の色合いが濃く、読み慣れていない自分からするとなかなか読み進めるのに難儀した。現代では使われない言葉遣いがされているし、一人の人物が立場や役職によって名前を変えるから誰が誰だかこんがらがるし、登場人物も取り沙汰される事柄も多いから処理しりれない。寛政の改革の時代に芝居・浮世絵・読本などあらゆるものがお上から禁止され鬱屈とした空気の中で、それでも巻き返そうとする人々が描かれているのがテーマに通じていて美しい。東洲斎写楽の正体も「どうして気づかなかったかなぁ」と思う上手い盲点の突き方。2024/11/19
hnzwd
18
写楽が誰か、という歴史ミステリはたくさん書かれていますが、泡坂妻夫が書くとこうなるのか、という。当時の時代背景とかをきちんと書いてくれているので、今まで不思議だと思ってなかったなぜ作品を発表できたのか、なぜ集中的に作品が出たのか、という所も重要なんだ、と感じました。読むたびにこれが真実でいいよね、って思ってしまうのも歴史ミステリの困ったところではあるのですが。。2024/11/10
ジュンジュン
11
馴染みの遊女が死んだ。自殺?それとも…。彼女が持っていた役者絵をきっかけに、事件の背後関係、そして写楽は誰なのかが明らかになっていく。まずは著者の寛政期への造詣の深さに感服する。多彩な登場人物と当時の風俗がてんこ盛り。時代の雰囲気を感じ取れる。ただ、それと表裏一体だと思うが、読みづらい、ペースが上がらない。ちょっとしんどかった。2024/11/27
pulp
7
そういえば今年の大河ドラマの蔦屋重三郎、とか他の人物(北斎・一九・松平定信、このあたりはドラマも後半から登場かな)も出てきたなと思い新装版で再読。写楽の正体をめぐる物語。二十数年前に読んだときは難しい……と感じたのはこちらの浅学のせいだと思った。でも、これに読み難さを感じるのは、もしかしたら著者が、読者は二の次で、自分が書きたいように、好きなように書いたからかも。最後の一行なんて、河出から出た泡坂のMOOKに載っていた高校時代の原稿を読んでいなかったら、ちょっと意味わからないんじゃないかな。2025/01/29
agtk
5
写楽の謎を解く本は好きで、小説も小説以外も目についたものはなんでも読んでしまう。この泡坂さんの小説もわくわくしながら読んだ。知っている名前がたくさん出てきて、作者はどんな結論にするのかと思いながら読んだ。話の展開も大満足。終わり方も良かった。作者の写楽愛が感じられる。2024/12/14
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