内容説明
「民意」を作るのは、わずか0.2%のユーザーだった!
ネット上で多数派に見える意見や大きな広がりを見せた運動は、必ずしも実際の世論と相関しない。もはや「常識」にも思えるこの乖離は、なぜ、どのように生まれるのか? 思い込みや偏見・党派性を排した定量的なデータ分析のみに基づき、ネット世論の実態や生成プロセスを解剖する。国政選挙や地方首長選挙から旧ジャニーズ事務所性加害問題まで、ネット上に形成された「民意」の正体に迫り、社会変革の可能性までを論じる快著
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
35
「民意」を作るのは、わずか0.2%のユーザだった。国政選挙・首長選挙から、旧ジャニーズ事務所性加害問題まで「ネット世論」の構造や実態を明らかにする1冊。ネット上で多数派に見える意見は、必ずしも実際の支持率や選挙結果とは相関しない。SNS時代の「常識」にも思えるこの乖離は、なぜ、どのように生まれるのか。受動的に作られていた従来の世論と能動的で非代表的なネット世論の違い、個々人の選択がアルゴリズムを作っていく状況を踏まえて、なぜ少数の意見が大きく見えるのかなどその可能性を考察する興味深い1冊になっていました。2024/08/29
Nobuko Hashimoto
28
ネットで盛り上がっているかのように見える論争や批判も、実はごくわずかなヘビーユーザーによるものだということを主にXの投稿をAIで分析して立証する。フィルターバブル、エコーチェンバーなど、既に言われているネットの現象を実証的に示していて、たいへん読みやすい。感覚だけでとらえていては民意はわからないというのはそうだろうと思う。でも、ネット上の声が国民の声というわけではないというために、岸信介の「声なき声」発言を(正しいというわけではないがと断りを入れながら)持ち出すセンスはいかがなものだろう。2024/10/26
tetsu
17
★4 X(Twitter)への投稿からキーワードで抽出した膨大な文書データを次のような手順で分析する。 まず、抽出したデータの一部を人間が分類し教師データを作成。(例えば、親自民党、どちらでもない、反自民党) その教師データを元に機械学習するAIが全データを分類する。 これまでにないやり方でビックデータを活用する手法でとてつもない可能性を感じる。 「ノンパラメトリック検定で統計学的に有意に差があるか検証する」など、様々な手法を駆使して合理的な結論を導き出す。統計学がこれからの必須教養になるかも。 2024/08/22
Garfield
16
今年の主要トピックの一つはネット選挙だったと思い、本書を今年最後の本に。大当たり! 2021~23年の選挙時のX投稿をデータに機械学習や統計学等を用い、定量的にネット世論の実態を分析。上記三選時はネット世論と選挙結果に乖離があったが、本年の都知事選、兵庫県知事選ではネット世論が選挙結果を左右。その意味で、直近結果の更なる定量的分析が待たれるが、フィルターバブル、エコーチェンバー、1970年代の沈黙の螺旋理論がSNSの登場で変容している様等、ネット世論形成メカニズムの理解を大いに促進された。 ★★★★★★☆2024/12/31
Gamemaker_K
11
んー。。。Webの世界の中での盛り上がりを世論ということ自体に違和感を持っているので、「うんまあ、そういうところだろうね」くらいの印象しかない。そもそも既存のメディアで形成される世論への疑問から始まっていることだと思うし。・・・既存のメディアに偏向報道はない、とこの本では言い切っているところも違和感がありましたね。報道することの内容はともかく、報道する事柄の選択というところに「偏向」は存在しているのではないかと思うので。2025/03/29