ミリタリー・カルチャー研究 - データで読む現代日本の戦争観

個数:1
紙書籍版価格
¥3,300
  • 電子書籍

ミリタリー・カルチャー研究 - データで読む現代日本の戦争観

  • ISBN:9784787234698

ファイル: /

内容説明

戦後日本のミリタリー・カルチャーは、戦前・戦中への徹底的な批判や否定から出発した。このことが、海外諸国とは異なる日本独自のミリタリー・カルチャーを作り出した。

1960年代に隆盛した少年週刊誌の戦記マンガ、プラモデルなどの少年文化は、敗戦後に抑制されていたミリタリー・カルチャーの復活をもたらした。その後、2010年頃を転換点として、メディアやポピュラー・カルチャーから戦争や軍事組織をイメージする世代が多数派となり、これが市民の戦争観や平和観にも反作用を及ぼして、ミリタリー・カルチャーの構造的な地殻変動をもたらしている。

現代日本のミリタリー・カルチャーを、市民の戦争観・平和観を中核とし、それと構造的に相関する文化的要素で構成する諸文化の総体として、社会学・歴史学の立場から解明する。
「読む事典」でどこからでも入っていけるミリタリー・カルチャー研究の決定版!

目次

凡例

第1部 ミリタリー・カルチャーとは何か
 1-1 なぜミリタリー・カルチャー研究をするのか
 1-2 どのように調査をしたか
 1-3 回答者はどのような人々か
 1-4 回答者の情報行動はどのようなものか

第2部 日本の戦争と戦後
 2-1 戦争の呼び方
 2-2 戦争・軍隊のイメージ
 2-3 戦争責任をどうみるか
 2-4 戦争裁判をどうとらえるか
 2-5 「特攻」をどう考えるか
 2-6 空襲の被害
 2-7 戦争孤児
 2-8 戦友会を知っているか
 2-9 戦没者の慰霊と追悼
 2-10 戦跡訪問と戦争・平和博物館

第3部 メディアのなかの戦争・軍隊
 3-1 日本の戦争映画
 3-2 外国の戦争映画
 3-3 活字のなかの戦争・軍隊
 3-4 マンガ・アニメのなかの戦争・軍隊
 3-5 朝ドラと戦争
 3-6 軍歌を歌えるか
 3-7 歌のなかの戦争と平和
 3-8 自衛隊作品

第4部 趣味としてのミリタリー
 4-1 趣味としてのミリタリー・概観
 4-2 ミリタリー本・ミリタリー雑誌
 4-3 兵器への関心
 4-4 「戦闘」を体験する
 4-5 プラモデル
 4-6 ミリタリー・グッズとミリタリー・ファッション
 4-7 軍事施設見学とイベント参加

第5部 自衛隊と安全保障
 5-1 自衛隊への印象と評価
 5-2 女性自衛官
 5-3 自衛隊と広報
 5-4 日本軍と自衛隊――断絶性と連続性
 5-5 侵略されたらどうするか

あとがき

資料 調査票・単純集計表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小鈴

22
価値中立的に「ミリタリー・カルチャー」として分析することは、反戦・平和主義の強い社会学業界では画期的なことであり、アンケート調査で網羅的にデータを見る興味深さと同時に、アンケート調査の限界なのかもしれないが物足りなさを感じる内容かもしれない。が、解説を通して日本の特殊性を学べた。例えば、「先の大戦」の統一的呼称がなく、時代によってゆらぎ、世代によって呼び方が異なること。戦後から1955年まで「戦争」を直接歌わなかった。リンゴの歌など耐え忍ぶ個人的な気持ちに寄り添う歌が流行る。などなど。2021/01/30

Toska

5
戦争を伝える媒体として、「火垂るの墓」と「はだしのゲン」の強さが印象的。作品そのものの持つ力と、これを平和教育の素材としてきた時代背景が相まっての現象なのだろうと。あと、世代ごとの分析では年齢に比例/反比例する結果が得られるかと思いきや、40代だけ特異な回答パターンが見られるケースが多いように感じた。ちょっと不思議。2021/01/20

てっき

4
ツイッターでフォロワーが薦めていたので読んだ本。筆者らのアンケートに基づき、現代における軍事がどのように一般社会に受容されているか、について論じた本。研究対象の選定から、各種媒体における動向や現代日本社会における自衛隊の存在に関してまで幅広く考察されており、研究としては素晴らしいのではないかと感じた。反面、現代社会そのものへの考察(SNSのバズ現象による認知など)は少なく、もう少し踏み込める余地があったのではないか、とも感じた。2020/08/29

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/15682595
  • ご注意事項

最近チェックした商品