「昭和天皇拝謁記」を読む - 象徴天皇制への道

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「昭和天皇拝謁記」を読む - 象徴天皇制への道

  • ISBN:9784000616492

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内容説明

天皇・側近たちの貴重な肉声が残された現代史の第一級史料,「昭和天皇拝謁記」.翻刻などにあたった著者陣が読みどころをわかりやすく解説する.象徴天皇制を始動させるにあたり,天皇は何を考え,宮内庁はじめ周囲はどう動いたのか.最良の「拝謁記」副読本にして,現代の,そしてこれからの天皇制を考えるための必携本.

目次

なぜ,いま「昭和天皇拝謁記」か……………古川 隆久
 第一部 天皇は戦争をどう認識していたのか
1 責任転嫁の戦争観──皆反省すればわるい事がある……………茶谷誠一
2 一九五二年の「おことば」問題──然し戦争の事をいはないで反省の事がどうしてつなぐか……………冨永 望
  コラム1 『西園寺公と政局』を読む昭和天皇
  コラム2 東条英機と近衛文麿
  コラム3 昭和天皇にとっての靖国神社
 第二部 象徴天皇制はどうつくられたか
3 昭和天皇にとっての「象徴…」──健全な皇室に対する観念をもつと作興したい…………河西秀哉
4 水面下の二重外交──今後日本としてアメリカとは仲よくして行かなければならぬ……………茶谷誠一
5 昭和天皇と地方行幸──積極的に多少の危険を冒して出掛ける方が却て国の為によい……………瀬畑 源
6 昭和天皇の安全保障観──軍備といつても,国として独立する以上必要である……………冨永 望
  コラム4 松谷誠と宮中
  コラム5 天皇と吉田茂
  コラム6 松平康昌の欧米視察と昭和天皇
  コラム7 昭和天皇と共産党
 第三部 新しい天皇像,新しい皇室像の模索
7 人間・昭和天皇の胸の内──長官だからいふのだが……………吉見直人
8 皇弟たちとの確執──皇室全体の首長で陛下はおありなのであります……………舟橋正真
9 皇太子への期待──皇太子様を完成と御考へ……………舟橋正真
10 皇籍離脱後の旧皇族と昭和天皇──栄典の一部として公爵,侯爵とかいふものをやるといふ事は考へられぬか……………河西秀哉
  コラム8 「宮中服」問題
  コラム9 皇居・御文庫
  コラム10 皇太子妃選考をめぐって
  コラム11 拝謁のスタイル考
 第四部 天皇を支えた人びと
11 宮内庁長官の仕事──廻り道はしても一旦きめたら不退転……………瀬畑 源
12 宮内庁長官・田島道治──其度毎にそれはいけませんと申続け……………吉見直人
13 侍従長三谷隆信の人と軌跡──侍従長としては誠に適当と存じます……………古川隆久
  コラム12 牧野伸顕への信頼
  コラム13 小泉信三の皇室での役割
  コラム14 神谷美恵子と美智子妃
 旧皇族家系図・天皇家系図
 あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

CTC

11
24年8月岩波書店刊。初代宮内庁長官田島道治による、49年2月から53年12月までの昭和天皇との“対話記録”である『昭和天皇拝謁記』は全7刊、23年5月までに同社刊。この編集委員だった古川隆久ら7名自身による解説書が本書。巻頭で古川先生が語っているが、7人の“田島観”は共通すれど、“天皇観”はまちまちだという。田島家の協力なくしては『〜拝謁記』も本書もなかったわけで、ご遺族2人が毎回編集会議(『〜拝謁記』のほう)に加わった旨が本書あとがき(茶谷誠一)に記されている。それら種明かしも本来本書の役割なのだ。2025/03/02

フンフン

7
初代宮内庁長官・田島道治の拝謁記を読み解くと言うのだが、読み解く側が教養レベルとして昭和天皇や田島よりはるかに低いのだからとんちんかんなことを書き散らしている。将棋の名人戦をアマチュア初段が解説しているような解説書。原文を読むべきなのだろうがヒマがない。原文の引用から天皇と田島の高度な考えを読み解くしかない。2024/10/15

つまみ食い

5
戦後、宮内庁長官となった田島道治の遺した資料をもとに昭和天皇とその周辺の様子を分析している。戦後の象徴天皇制への移行と維持を模索する天皇の苦悩や、戦争責任についての認識がうかがえ、GHQや戦後の政治家、皇族たちへの時には愚痴めいた感想も見える。ある意味すぐれて「人間宣言」的な一冊。2025/02/09

中将(予備役)

1
編集委員たちによる昭和天皇拝謁記の解説。田島が遺した記録は秘事の盗み見のようで気が引けるところもあるが、昭和天皇の「◯◯だねー」のような口調に本音が表れていて、記録のダイジェストにもかかわらず臨場感があった。田島の「改革」には入江相政も日記で批判的に書いているようだ。2025/04/24

やご

1
『昭和天皇拝謁記』は、初代宮内庁長官田島道治が1949年から1953年にかけて昭和天皇に面会した際の対話を、田島自身が記録したものです。公的な場面以外での昭和天皇の発言が詳細に残されており、2019年に公表された際には大きな反響を呼びました。本書は『昭和天皇拝謁記』公刊にあたって編集者を務めた6人の研究者と『昭和天皇拝謁記』を発掘したフリージャーナリスト1名による、全7巻という大部の読みどころ・ポイント解説、というものです。(続く)→ https://gok.0j0.jp/nissi/1573.htm2024/11/07

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