内容説明
入浴する、トイレで用を足す、蛇口から清潔な水を汲んで飲む──水で清潔を保つ現在の日本の日常は世界の諸相、日本の歴史の上で普遍的なものなのか。温暖化で水資源への注目が高まる今、日本の歴史、世界の文化から、水と人との関係を照らしだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
120
地震と豪雨に襲われた能登地方では、未だ水道が復旧せず飲用水にも事欠く地域が残る。全国民が清潔な水を供給されるのが当然視される日本だが、おいしく安全な水は世界では例外的なのだ。水の確保も困難だったり、河川の利権が国際紛争に発展するのも珍しくないのが実情という。浴場が発展した古代ローマに比べ、キリスト教の支配下の中世欧州は王侯貴族でも不潔が当然視され伝染病が蔓延した。水と人の関係は住む地域や歴史や宗教により千差万別で、日本の入浴事情も大きく変遷した経緯を伝える。私たちの上下水道も、いつまで保たれるのだろうか。2024/10/24
やいっち
56
「温暖化で水資源への注目が高まる今、日本の歴史、世界の文化から、水と人との関係を照らしだす。」というもので、話題が多彩。中身が濃い。 ガンジス川でのヒンドゥー教徒の沐浴は有名だが、ガンジス川の汚れぶりもテレビなどで幾度となくその光景が報じられてきた。信仰の事柄なので何を言うこともないが…。中世のヨーロッパの衛生事情に驚く。これまた身の汚れは宗教上は穢れであり、落としてはならないとか(キリスト教の教えでもあった)。2025/07/09
ゲオルギオ・ハーン
26
西欧の水道やトイレ、入浴についての文化を中心に日本や中東などの地域による清潔に対する考え方を比較してまとめた一冊。西欧はキリスト教が布教されると身体を洗わないことが『清潔』、だという考え方になる。現代の価値観では「不潔」でしかないが、当時は不潔な見た目こそ魂と内面の清潔を現すとして制限していた。もちろん、臭いわけだがそれも『神聖なる臭さ』ということにしてしまうのだから徹底している。ただこうした価値観も衛生学の発達や伝染病に対する研究で否定されていく。2025/01/31
紙狸
19
2024年8月刊行。著者は比較文化、医学史を専門とする学者。「水」「清潔」を縦糸とする本で、章ごとに考察する地域・時代が異なる。インドの階段井戸、ローマの風呂、英国の上下水、江戸時代の上水、日本近代の風呂等々と対象は幅広い。個人的に興味深かったのは、歴史を遡れば、「キリスト教徒が必ずしも清潔でなかった」という話。洗礼により浄められた身体はもはや汚れることがない、という考え方があった。また西欧では瘴気(悪い空気)こそが疫病の原因だという説が19世紀に入っても根強く残っていたという。2024/08/18
ひなぎく ゆうこ
7
美しいインドの「階段井戸」初めて知りました。 風呂・トイレ・水道、国が違えば習慣も様々。2024/10/19
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