ちくまプリマー新書<br> ひっくり返す人類学 ――生きづらさの「そもそも」を問う

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ちくまプリマー新書
ひっくり返す人類学 ――生きづらさの「そもそも」を問う

  • 著者名:奥野克巳【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2024/08発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684912

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内容説明

常識をひっくり返して「そもそも」を問う思考法には、問題を定義し直し、より本質的な議論に導く力があります。学校教育や貧富の格差、心の病など、身近で大きな社会・環境危機に人類学で立ち向かう一冊。 【本書で扱う一例】ヘヤー・インディアンは「教わる」という概念を持たない⇒学校ってなぜ行くの?そもそも学ぶって何?/プナンは獲物もお金もみんなでシェアして貧富の差がない⇒格差や権力はそもそもなぜ生まれるの?

目次

序章 人類学でひっくり返すとはどういうことか? /1 「精神の危機」によって生まれた人類学/2 『ひっくり返す人類学』とは何か? /3 本書が目指す「処方箋」としての人類学/第1章 学校や教育とはそもそも何なのか/1 私の「お稽古ごと」時代/2 ピアノ教室の未知の世界/3 学校教育とは何か/4 「師弟関係」がないヘヤー・インディアン/5 ヘヤーにとって「覚える」とは? /6 ボルネオ島の狩猟民プナンにとっての「学び」/7 プナンにとって「学校」とは何か? /8 学校には行かなければならないの? /9 「知識」とともに「知恵」を重んじる/第2章 貧富の格差や権力とはそもそも何なのか/1 世界と日本における貧富の格差/2 貧富の格差のないプナン社会/3 貧富の格差が生じないような仕組み/4 権力とは何か/5 気前のいいビッグマン、不穏なビッグマン/6 権力を生じさせないための工夫/第3章 心の病や死とはそもそも何なのか/1 働きすぎやうつ病をめぐる私たちの日常/2 うつ病や心の病のない社会/3 カリスの唇のあやまち/4 それは心の病ではない/5 日本における「この世」からの別離/6 葬儀の変化、死の消滅/7 人が死ぬと残された家族の名前が変わる/8 日本の戒名とプナンのデス・ネーム/9 死者を「忘れる」/第4章 自然や人間とはそもそも何なのか/1 自然と人為という枠組み/2 人間から分け隔てられる動物/3 自然と人間の二元論に抗する思考/4 トリと動物と人間の三者間関係/5 動物は思考し、森も思考する/6 山や川もまた人間/おわりに/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ノンケ女医長

39
ストレスフルだし、どんどん生き辛くなっていく風潮に、何か知恵を授かれないかと思い買ってみた。うーん、著者の興味や豊富な知識、経験は立派だと思うものの、タイトルに記した「生きづらさ」を今まさに抱えた人にはあまり助けにならないと思った。ひっくり返そうにも、土台や文化が違うのだから。その行動をしても、結局「後片付け」は自分でやらないと収拾がつかないと思うし、現代の悩みに明るい灯火を見出すことは、私の場合はかなり難しかった。次々変わっていく話の展開は、知識の豊富さがかなり窺えるが、読み物としてはどうなんだろうか。2025/04/29

よっち

36
常識をひっくり返して「そもそも」を問う思考法には、問題を定義し直し、より本質的な議論に導く力がある。身近で大きな社会・環境危機に人類学で立ち向かう1冊。学校に行かず「教わる」という概念を持たないヘヤー・インディアンや、獲物もお金もみんなでシェアして「貧富の差」のない共同体プナン、常識と思っていることをやっていない事例を知ることで、心の病や自然に対する考え方も含めてもう一度考えてみる内容で、そもそも論は面倒がられる傾向がありますが、時には常識から一度離れてみて考え直してみることも必要なのかもしれないですね。2024/08/29

tsu55

28
ちくまプリマー新書の中の1冊。プリマー(primer=入門書)なので、とても分かりやすく書かれている。 自分の属する文化では当たり前のことが、他の文化圏では非常識となることがある。現代の社会が抱える閉塞感を打ち破るには、異なる文化圏からの視点を取り入れて、常識を「ひっくり返して」考えてみることも必要なんだろうな。2025/02/04

ta_chanko

22
狩猟採集民社会でのフィールドワークを通して、現代社会が抱える問題について考える。「学ぶ」とは何か。誰かに教えられたり教えたりといったことではなく、自分で身につけるもの。「格差」や「権力」のない社会をつくるため、気前よく皆に食料をふるまう者(ビッグマン)が尊大にならないよう、ふるまわれた食料に皆でケチをつける。尊大になったら、人々が離れていく。狩猟採集民にとって、「死」は忘れ去るべきもの。現代社会に多い「うつ病」はないが、特有の病は存在する。「自然」と「人間」は分けられない。川に法人格を認める社会もある。2024/10/04

タカナとダイアローグ

21
西洋社会的常識の枠内だと、「学校に行かないことは問題だ」っていう問いになってしまいがちだけど、人類学を学ぶことで「そもそも学校って必要なんだっけ?教えない民族もあるらしい」といった根源的な問いを得られる。1900年前半に行き詰まった近代をひっくり返したくて人類学が生まれたとのことだけど、どん詰まり感のある現代に必要とされているのがわかる。学校と教育の他、格差と権力、心の病と死、自然と人間をオルタナティブに考えられる人類学入門書。初めて哲学を読んだ時の感覚に近い。あと、見田宗介社会学とかに近い感覚を得たを2024/08/14

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