ちくま新書<br> 大阪・関西万博 「失敗」の本質

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ちくま新書
大阪・関西万博 「失敗」の本質

  • 著者名:松本創【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2024/08発売)
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  • ISBN:9784480076410

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内容説明

遅々として進まないパビリオン建設。肩透かしを食らう機運醸成。理念なき中、喧伝される経済効果。夢洲の開発にかける維新の思惑。過去の成功体験に引きずられながら、詰めが甘いまま進行してしまった大阪・関西万博。現状のまま開催されれば、「成功」とは到底言えないだろう。なぜこうした事態に陥ったのか。その真相を深掘りする。

目次

はじめに/第1章 維新「政官一体」体制が覆い隠すリスク──万博と政治……木下功/「歓喜の夜」から一転、次々と噴き出す課題/夢洲は本当に「負の遺産」なのか/橋下知事の「ベイエリア・カジノ構想」から始まった/「松井試案」を後押しするベンチャー経営者/支え合う維新と安倍政権、絡み合うIRと万博/万博は「府市一体の成果」とアピールする維新/予算増を予測できぬ協会、容認する維新首長/15万人が避難? 現実味を欠く防災対策/橋とトンネルは避難路に使えるか/「夢洲は液状化しない」想定の誤り/爆発事故で問われた万博協会の説明不足/巨大事業を検証する仕組みがない/大阪府HPから消えた万博議事録/第2章 都市の孤島「夢洲」という悪夢の選択──万博と建築……森山高至/日本の万博出展史に見る海外パビリオンの重要性/建設遅れは参加国ではなく開催国の責任/「夢洲」という悪条件──埋め立て安定せず、地盤沈下続く/地盤対策上の制約その1──長すぎる杭と撤去の問題/地盤対策上の制約その2──掘削制限で地下室が作れず/浚渫土からもメタンガス。爆発の危険は今後も/アクセス悪く電源もなし、「都市の孤島」の難工事/厳しい残業規制が工事進捗の足かせに/参加国をフォローせず、タイプXを勧めた万博協会/参加国の焦り──設計者や工事業者見つからず/電通の不在とゼネコンの「逃げ腰」/木造リングが覆い隠す深刻すぎる工事遅れ/本質見ず、議論もなし。暴走する「机上の空論」/第3章 「電通・吉本」依存が招いた混乱と迷走──万博とメディア……西岡研介/東京五輪談合事件の衝撃と余波/電通が牽引した戦後の博覧会60年史/大阪府・市と政府、維新と自民の不協和音/電通が万博に消極的になった理由/吉本興業の「地方創生」ビジネス、大阪府・市との蜜月/読売グループがカジノを批判する理由/IRにらみで万博を盛り上げる吉本の思惑/「大﨑体制見直し」と「松本スキャンダル」/吉本も万博から「完全撤退」/万博協会の失敗は「人事」と「財務」/「哲学」のない万博に成功はあるか/第4章 検証「経済効果3兆円」の実態と問題点──万博と経済……吉弘憲介/万博コスト増への反論で持ち出される「経済効果」/そもそも経済波及効果とは何か──短期と中長期の二面から/短期効果と中長期効果、それぞれの問題点/経済波及効果を計算する三つのステップ/経済波及効果と事業の「正当性」は関係ない/万博の短期経済効果はどのように変化してきたか/消費動向、2024年問題……実態と乖離した3兆円試算/「来場者2820万人」の高すぎるハードル/レガシー効果は「公益性」の有無で決まる/公共事業を長期的視点で評価するために/独自調査で判明「大阪でも低い万博評価」/万博の公益性と相容れない維新の「個人の利益追求」志向/第5章 大阪の「成功体験」と「失敗の記憶」──万博と都市……松本創/博覧会の成功、湾岸開発の失敗、カジノの未来/博覧会都市の始まり「第五回内国勧業博覧会」/都市を広げ、人・物の流れ変えた70年万博/維新ブレーン・堺屋太一の提案から始まった/「万博に取りつかれた男」との空疎な質疑/排除と差別、博覧会の「負の歴史」/テクノポート計画の挫折、大阪五輪の惨敗/維新の原点「府庁移転」と「湾岸開発」構想/夢洲開催案は本当に検証されたのか/大阪IR──少数の推進派と大多数の無関心/万博を狂わせたIRの誤算──橋爪教授の見解/「過去の成功体験」が「同じ失敗」を呼ぶ懸念/参考文献/関連年表/執筆者一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

123
大阪万博に対する指摘は、正鵠を射ている。埋立地の技術的問題、協会事務局の不出来、ゼネコンや電通という仕切り役の不在など、実務的な問題点は多いが、そもそも、博覧会に哲学がなく、維新によって「カジノありきの万博」として推進されてきたことの報いかも知れない。70年万博の二匹目のドジョウを狙うと言われるが、そもそも、関西経済は万博を頂点にして地盤沈下の長期低落傾向が始まった。お祭り騒ぎのあと、産業構造の転換や新産業創出などの次の成長につなげられない大阪人の刹那的な体質そのものを反省すべきなのかもしれない。2024/10/12

shikashika555

40
無事会期を終えてほしいし実りあるものであればよいと願う。 しかしながらここに至るまで、いや現時点においても何やら頼りない雰囲気というか大丈夫なのかという不信感というか、陰性の感情が拭えない。 コロナ禍における対策と同じく、この万博においても全体を俯瞰できる責任者が不在の感。 迷走しても筋道を戻す力もなければ、疑問や問題点を上げれどもどこの部署でも「ウチじゃありません」が可能になってしまう。 事後にできた点だけつまみ出して「実績」と喧伝することが可能になってしまう。 そんなモヤモヤが言語化されている。2025/04/10

おおにし

27
(読書会課題本)開催前に「失敗」の本質などとタイトルをつけていてちょっと言いすぎではと思って読んだが、このタイトルでも問題なしというのが今の感想。必ず失敗するプロジェクトの兆候というものがすべて現れていると思えるほどの状況のまま開幕を迎えることになりそうだ。IRありきで万博を誘致してしまったことがそもそもの敗因であろう。大阪という都市全体の中長期ビジョンがないまま、70年万博の成功体験だけを頼りに万博へ突き進む維新首長たちに失敗の責任は取れるのだろうか。2024/12/24

こも 旧柏バカ一代

25
そうか、万博はカジノの下地作りだったんだ(棒読み)政治家使って、税金使ってるのが失敗のなのかもね。地盤の調査をしたくても莫大な予算が掛かるとは申請する時には言えない。カジノを作りますと言ったら世間的には反発も強い。埋立地だから地盤がユルユルだから基礎工事が膨大にもなる。予算計上の時はそんな事を書いたら反発される。だから政治家に頼った結果がこうなったと。しかも半年後には解体するから資金の回収も出来ない。終わってる。2025/03/23

りょうみや

24
5人のジャーナリストやライターのオムニバス形式。ほとんどの府民・国民が感じ取っている通り大阪万博は既に失敗認定されている。過去の万博の成功体験を忘れられず大阪に誘致するところまでは100歩譲ってよかったとしても会場を埋立地の夢洲にしたこととIR事業ありきの会場にしたことは致命的な失敗の原因。大阪府民であるけどこれまでよく分からなかった大阪の裏側がわかり勉強になる。2024/09/16

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