内容説明
日本初の女性法律家として戦中戦後を生きた3人の足跡を記録したドキュメンタリー『華やぐ女たち 女性法曹のあけぼの』の復刻版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっちゃん
128
本を開くとまず三淵嘉子さん65歳時の写真と目が合う。おおらかな笑顔、が眼差しからは意思の強さが伺える。毎日前のめりになって観ている今季の朝ドラ。装丁とタイトルから伺える固さはなくて、とても読みやすかった。女性法律家の草分けのこの3人に共通するのはやはり裕福な家庭に生まれ、父親が「女性も学問を極めるべきだ」という考えだった事、そして「女性も自分らしく生きるべき」という男性を夫に選んだ事。三淵嘉子さん、職場の人達は「おおらかで気配りの人」と口を揃えたのに家族は「一人よがりですぐ怒る」のギャップが面白かった。2024/06/09
小鈴
20
朝ドラ虎に翼で存在を知り読んでみました。元検事で現在は弁護士の著者は出版社から1985年に日本はいつから女性弁護士や法律家が活躍されたのですか?という質問に答えられなかったことから本の企画が始まった。戦前から婦人運動は活発だったが、著者が本をまとめるまで法曹界の女性史をまとめた本はなかった。驚きである。この本は87年に出版、朝ドラ化するにあたり情報を追加して再版された。司法試験を女性で最初に合格した3名のうち2名は既に鬼籍に入っていた。中田正子に面会して聞き取りしている。興味深く読みました。2024/08/16
kenitirokikuti
11
全く偶然なんだが、知り合いのおっちゃんが裁判で弁護していただいたのが本書の著者である佐賀千恵美先生なのでありました。最高裁には上がらず和解となった。裁判は面倒ですねえ。本書が取り上げる女性法律家は明治大学卒だが、相手方は日大だったなぁ。おっちゃんに送ったのであとで感想を聞こう。2024/06/12
カチ
3
久米愛さんの言葉が印象に残った。男は幼児の時から社会へ出て計画、決定に加わるという教育と訓練を受けているが、女にはされていない。能力がないのではない。また、男に養われる生活の幸せは、男がいなくなれば全部根底から崩れる。経済的、精神的に独立して国や社会に目を向けられるようになる等。それにしても東京、中央で活躍された久米さん、三淵さんは元々運動が得意で体力もありそうだったのに、共に60代で亡くなられたのは、力尽きたかのように感じた。2024/07/26
hisayparrish
2
「三淵嘉子と家庭裁判所」を読んで、もう少し知りたくなり、本書に至った。これは、元検察官で現在は弁護士をされている佐賀千惠美さんが、1991年に発刊した「華やぐ女たち 女性法曹のあけぼの」の復刻版とのことだ。よく丹念に取材されたなと感心する一方で、今となっては得がたい貴重な情報を集めておいていただいたことに感謝する。本書は三淵嘉子さん、中田正子さん、久米愛さんの3人が登場するが、三人とも女性の社会進出に偏見のあった戦前の時代から戦中、戦後を生き抜いて、それぞれ立派な仕事をされたことに改めて敬服する。2024/01/12