内容説明
「開かれた対話」を通じて精神疾患にアプローチする。この画期的な手法であり思想を、日本に導入すべく奔走する著者の最新論集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ただいま蔵書整理中の18歳女子大生そっくりおじさん・寺
60
「オープンダイアローグ」を教えてくれたのは、かつて交流があった読友さんだった。元気だろうか?。患者と治療チームと患者の関係者の対話のみで統合失調症が治癒するなんて、嘘みたいだが、嘘のような本当の話なのである。しかもこの対話はカウンセリングではなく「対話のための対話」なのである。フィンランドで発祥したこの療法に惚れ込んだ斎藤環は、これがうつ病やひきこもりにも有効である事に気付く。本書は評論が多い著者の初めての学術書になるそうだが、人間にとって人間が1番の薬である事を教えてくれる良い一冊である。読んで損無し。2020/03/18
ころこ
39
OD関連2冊目ですが、前回と同様、従来の齋藤環ファンには物足りない内容になっています。①反ラカンです。精神分析の言葉を批評に適用する従来の立場から、転向を表明しています。②ODの内実はともかく、ODを導入することで、治療者と患者の関係や、医療現場の権力、医療行政とその他の厚生行政の垣根が変わることを期待しています。普通の読者からしてみれば、医療の政治性を問うているとみえます。双方とも、最近は読者の期待と違う方向に行っていないだろうかと疑問に思いますが、他の状況からも、著者が確信を持っているのは明らかです。2019/08/20
アナクマ
27
「コミュ力偏重の時代である…コミュ力強者が最も有利」とされるような風潮。それと裏表で「他者からの承認の危機は実存の危機であり、死活問題でもある」◉しかしODはコミュ力とは正反対の特性をもっている。継続性、現前性、共有、傾聴、応答があり、濃密な相互性が実現され、ここ〈対話の場〉においては「対話障害はありえない」とし、そこに希望を見出す。◉実体験に則した教科書的ではない論考がいっぱい。これは有用案件に思える。「言葉という他者が私の身体の中で生まれ直す経験」という著者自身の実感をひとまずは信頼してみたい。→2023/05/24
ブルーツ・リー
5
実際の医療行為としてのオープンダイアローグの手法を示すだけには留まらず、その理念的な面を含めて書かれていた。 従来の医療の中では、治療者が一種の権威者で、垂直の関係性ばかりが目立つ精神科医療であるが、オープンダイアローグに置いては、治療に置ける意思決定に必ず本人が加わるなど、非常に民主的な、水平な関係を重視した治療が行われている。 医療の枠を越えて、一般の対話の中にまでルールや科学を持ち込む事には反対だが、精神科の治療行為としてのダイアローグには、支配構造を越えた、新たな医療の可能性を感じている。2023/09/13
Asakura Arata
5
オープンダイアローグは自分にとって、とてもフィットしている治療法だと思った。イニシアチブが取れない、治療方針がはっきりしない、基本的に喋るのが苦手、「先生」と呼ばれると今でも居心地悪い、転移ー逆転移苦手。そんな私にとって、最もストレスのかからない治療法である。しかし精神医学がヤスパースが「了解不能」と言った時点で負けが決まっていた。犬猫だって気持ちをわかろうとする人は多いのに。表紙絵は坂口恭平氏。2019/08/13
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