内容説明
「死にたい」「助けて」その必死の告白をどう受け止め、支援するか。行政、医療、NPO等さまざまな現場の実践知を紹介する。コロナ禍での自殺対策を問う対談を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
88
死ぬ権利もあるだろう。死にたい人は死ねばいいという考え方もあるだろう。だが、自分の大事な患者さんが自死した時、どうして夜中でもいいから私を叩き起してくれなかったのかと思ったことがある。ずっと忘れられないでいる。自殺予防に取り組む15人の文章。貧困、不治の病、家のない人達など。生きていても仕方ないと思う人達は多岐に渡る。まずは死にたい気持ちがあるか聞くこと(案外この質問は大事)。自殺を肯定せず、辛い気持ちに共感すること。私の経験からすると人は孤独な時に自殺のリスクが高まる。ただ一緒にいるだけでいい。KU2025/07/04
たまきら
38
「死ぬ死ぬ言うやつに限って死なない」は迷信だー現場を知る人たちの声は重い。先週長年飼育していた亀二匹を死なせてしまった。本日回向院に骨を受け取りに行き、安置場所まで先導してくれた猫に癒され、読経とお香の香り、いらしていた人たちとの対話で心が少し前向きになれた。…これが身近な人の自死だったら…?それでも、私たちは「助けてほしい」というサインを出してくれる人にしか手は差し伸べられない。死んでほしくないのも外野のエゴかもしれないーなんともどかしいのだろうか…。2025/07/28
Die-Go
34
図書館本。自殺をほのめかす、若しくは自殺企図をしてしまった人に対して、どのように対応していくのか。その現場での様々な取り組みを読み、自分の立場を再認識させられた。★★★★☆2025/03/03
ykshzk(虎猫図案房)
20
「死にたい」の告白の背後にあるのは「本当は生きたいけれど」。身近に少し不安な人が居るのと、長年精神病棟に入っている友人と文通しているので読みました。間違っても私が彼らの何かの役に立てるとは思わないけれど、役に立つ、立たないではない、ニュートラルな隣人でありたいと思う。TVでもよく見かける松本先生の総論は、現場で向き合う人でなくとも読んでよいと思える内容。良い悪いを決めつけないこと、自殺するすると言っているやつに限ってしない、というような俗説は信じないこと。 2022/07/04
きゅー
5
自殺予防のために必要なのは「安心して『死にたい』と言える関係性」であることが強調される。そしてその『死にたい』には、「死にたい気持ち」と「生きたい気持ち」が混じっている。だからその言葉を聞けた人間はまだやれることが残っているという。相手を否定せずに聴き続け、ときに質問する。問題の解決には至らないが、それでも気持ちが救われることがある。しかし日本ではSOSを出す教育ばかりが進められていて、SOSの受け止め方の教育がなされていない。そのため、相談することでさらに傷つく人たちがいるという警鐘も書かれている。2025/02/03