内容説明
明治以来の数学教育史において最も重要な人物である藤沢利喜太郎と遠山啓の人と仕事を描写・考察する。これからへの問題提起の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yanagihara hiroki
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「算術は学ではない」のでひたすら習熟すべしとして、寺尾寿の「理論流」を激烈に批判した藤沢と、考えることの大切さを説いた遠山という構図で描かれた本(藤沢はいわゆる「三千題流」にも批判的だったらしいが)。どちらも必要なのは当たり前として、「考えるより慣れろ」は内田義彦の「天皇の系統図を『暗記物』として覚えてきた我々」にもシンクロする。文明の花実を導入し、その根に目を向けないままの明治維新とも。藤沢の主張の誤用もマジョリティが考えることを放棄したがるこの土壌ならではであり、現代の青チャート周回も不可避の過ちか。2023/09/19