内容説明
終戦直後の旧満洲。ソ連軍の侵攻から逃れてきた難民たちは、ようやくたどり着いた満洲最大の商工業都市・奉天(瀋陽)で、飢えや発疹チフスなどの感染症によって次々と亡くなっていった。 そこでいったい何があったのか。 著者は奉天での難民の大量死の一因が救済事業の遅れにあったとみて、当時の状況を資料や満蒙開拓団員、居留民、満洲医科大学の関係者などの証言からつぶさにたどっていく。難民と居留民を隔てる「見えない壁」の存在。医薬品が乏しいなか、ワクチン開発や巡回診療に奔走した満洲医科大学の医師や学生、看護師たち……。 NHK-BS1スペシャルをもとに、追加取材による新たな証言を含めて再構成。感染爆発と戦争が身近になった時代を生き抜く上で、多角的に物事を見る目を養う、貴重な歴史証言の書である。 山本太郎氏(長崎大学名誉教授・国際保健学)推薦 「知られざる事実が資料や証言から次々と明らかにされる。ポストコロナを生きる私たちは過去に何を学ぶべきだろうか?」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
山口透析鉄
23
満蒙開拓団は著者の地元・信州でもかなり多かったそうです。満州国といっても地元の農民から土地を買い叩いたものですので、ハリボテ傀儡国家です。ソ連参戦に至る歴史やその後の世界史もなぞりつつ、今まであまり注目されてこなかった引き揚げ者の感染症死(チフス・コレラが主で、ペストは幸いそれほど広がらなかった)についての調査報道番組の内容をまとめた本です。避難して都市に集まってきた時点で既に難民で、居場所もない冬場は一緒にいたりでシラミがすぐチフスを媒介してしまいます。731部隊に関連してワクチンを入手して(以下コメ)2025/08/15
ちさと
18
終戦間際の満洲。地方に散らばって入植していた満蒙開拓団はソ連軍の侵攻から着の身着のまま逃れ、ようやく大都市奉天に辿り着く。しかしそこは、略奪と強姦、追い剥ぎに殺人の地獄だった。栄養失調の身の上に発疹チフス、ペスト、コレラが襲い掛かり、引揚げまでの犠牲者は約25万人にのぼる。本書は当時の状況を、資料や満蒙開拓団員、都市住民、満洲医科大学の関係者などの証言から辿っていくんですが、ここにあるのはもう混乱の地獄の極み。とっとと逃げた関東軍を棚に上げてなんですが、ソ連という国は本当に鬼畜だなと呟かずには居られない。2025/04/20




