内容説明
登録者数18万人超の人気ユーチューバー、保守論壇常連の政治学者――。
今40歳の岩田温氏が早稲田大学在学中の21歳の時に刊行したデビュー論文集がついに蘇る。
戦後の繁栄の裏で溶解しつつある日本人の精神をどう守り、後世に引き継ぐか――。
一学徒の、愛国と憂国の情がほとばしる著者の原点、20年ぶり新装復刊!。
●主な内容
◇国家観を喪失した戦後という時代
◇戦後日本で大旋風のE・H・カー、ヘーゲルの歴史哲学を斬る
◇今求められる「垂直的共同体としての国家」
◇西南戦争での西郷隆盛と大東亜戦争での特攻隊員の共通点
◇危機に際し「立ち上がった歴史」を持つ民族と持たざる民族の違い
「かつては独立自尊のため立ち上がることができた日本が、祖国のために命をおとした先人を祀ることすらままならなくなっている。(略)激動する時代の中にあって我々に求められていることは、特攻隊で出撃した、我々と同じ学徒の想いを継いでいくことではなかろうか」(「はじめに」より)
「彼ら(特攻隊員)を犬死とあざけ笑うものは、自らの空疎な生を認めることを怯えているだけではあるまいか」「民族の歴史を引き受ける覚悟を忘れた瞬間、それが戦後ではなかったか」(「終章」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
63
歴史、特に一国の歴史をどのように捉え、継承していかなければならないのかを、明治の西郷隆盛、昭和の大東亜戦争の特別攻撃隊員の胸に萌した想いを深く掘り下げ示した。本書は著者が大学生の折に執筆し、昨年の著者大病からの奇跡的な復活に際して認めた遺書で復刊を望んだもの。国民国家こそが国際政治における基本単位であり、国家を国家たらしめる国民の歴史を、我がこととして捉える覚悟を持つことで、人は国民になるという。国家とは単なる同時代の水平的共同体であるのみならず、時間を超えた垂直的共同体でもある、という指摘は胸に刺さる。2024/08/11
佐々陽太朗(K.Tsubota)
51
大東亜戦争において、戦ったとしても勝ち目が見えない戦争に日本はなぜ突入したのか。また負けが確定した最終局面において、なぜ特攻という挙にでたのか。特攻隊に志願した者たちはなぜ志願し散華していったのか。それは決して狂信や洗脳による所作などではなく、よくよく考えそうすべきとの結論に至ったうえでの行動であった。そこには日本人が営々と培った歴史哲学があった。岩田氏は日本人乗れきり哲学をを西郷隆盛、特攻隊の所為のなかに時空を超えて一つにつなぐものとして見いだす。2024/08/29