ちくま学芸文庫<br> 増補 聖典クルアーンの思想 ――イスラームの世界観

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ちくま学芸文庫
増補 聖典クルアーンの思想 ――イスラームの世界観

  • 著者名:大川玲子【著者】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2024/08発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480512437

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内容説明

クルアーンにはモーセやイエスといったユダヤ教・キリスト教の重要人物たちも預言者として登場する。いったい彼らとイスラームとはどういう関係なのか? なぜ同じ預言者同士でありながらムハンマドに下されたクルアーンが最も正しい聖典とされるのか? 本書ではまずシーア派とスンナ派の違いなどの基礎知識を紹介しながらムハンマドの生涯を概観し、イスラームの成立過程をたどる。その上で天から下されては更新されていく「啓示」の基本構造を説明し「ジハード」などの聖句の意味をクルアーンを読みながら解説する。イスラームの考え方や行動の意味が根本からわかる格好の入門書。

目次

増補版はじめに/初版はじめに/第一章 クルアーンとはいかなる聖典なのか? /1 クルアーン誕生の経緯 アッラーの啓示から書物へ/2 クルアーンの構成と内容/3 読誦されるクルアーン 日常生活のなかで/第二章 預言者たちとクルアーンに先行する諸啓典/1 「啓典の民」と「純正一神教徒」 クルアーンのユダヤ教・キリスト教徒観/2 預言者たちと啓典 アダムからアブラハムへ/3 モーセの「律法の書」、ダビデの「詩篇」、イエスの「福音の書」/4 クルアーンの優越性/第三章 「天の書」とクルアーン/1 クルアーンが語るクルアーン その自己認識/2 「天の書」と人間の運命/3 「記録の書」と人間の自由意志/4 「天の書」からクルアーンへ 啓示が下される時/第四章 日本人とクルアーン/1 英雄「マホメット」への関心 大正のクルアーン訳/2 「亜細亜との連帯」を目指して 戦前のクルアーン訳/3 学問と信仰 戦後のクルアーン訳/第五章 改宗者ムスリムとクルアーン翻訳/1 ムスリムに改宗した人たち 「危険分子」か「仲介者」か/2 ヨーロッパの改宗者ムスリムによるクルアーン翻訳書/3 アメリカの改宗者ムスリムによるクルアーン翻訳 女性の活躍/4 日本の改宗者ムスリムによるクルアーン翻訳/あとがき/主要参考文献〈初版〉/主要参考文献〈増補版〉

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

9
大変勉強になった。特に末尾のクルアーン翻訳の各版の比較など重要。クルアーンと聖書の関係などあまり分かっていなかったが、どの部分が共通し、どのような差異があるのかなど(例えば、イサクが殺そうとしたのがイシュマエル!であると、イスラムの直系=正当性を主張)勉強になる。新約聖書も神の言葉の部分(福音書)については採用。よく出てくるジンとは、諸世界が「天使・ジン・人間」の三つの世界に分かれるとの認識から。夫に従わなければ女を「打て」とのクルアーン四章の記述を「去れ」と解釈するフェミニズム的翻訳も。改宗者が翻訳する2025/01/24

kentake

2
イスラームに関わる話題を聞かない日がないくらい、世界の中でイスラームの存在感が大きくなっているが、多くの日本人にとって、イスラームは依然として謎の世界である。 本書では、イスラムの聖典クルアーンに何が書かれているのかが分かりやすく解説されており、素人にとってイスラーム理解の基礎を与えてくれる。 イスラム教は、ユダヤ教やキリスト教の中から生まれた宗教であはあるが、ムスリムにとって、クルアーンはユダヤ教やキリスト教の教義を包括した優れた聖典との位置付けであり、この点が宗教対立の一因となっている点がよく分かる。2024/12/20

Mits

1
もちろんクルアーンの全訳ではないのはわかっていたけど、その思想について詳しく解説されたという感じではなかった。ただ、書かれていることが意外に揺れがあったり、「ほならね理論」を言ったりして結構人間的なんだなと思ったりした。逆に言うと、これでどうやってあんなに強固な信仰の根本になりえるのかはよくわからない。究極的にはどんな宗教もそうなのかもしれないけど、先行の宗教を否定することと自分が正しいと強弁することのみで信仰が成立するとは思いたくないんだが。2024/09/28

すい🕊️

0
今後ますます増えると言われるイスラム教徒のみなさんが、どういった考え方や何を大切にしているかなどを知りたくて読みました。まずアジアに信徒が一番多いことに驚き、続いてテロリストが用いるジハードという単語も本来は別の意味であることを知り、他にもすべての事柄が書かれている「天の書」についてや、クルアーンを様々な言葉に訳すこととその意味など、とても興味深い内容でした。2024/06/04

○○○ ○○

0
井筒訳コーランを読んだついでに、本屋で平積みになってたんで何となく購入。井筒訳の段階で感じてはいたけど、クルアーンの場合啓典を理解するためには本文だけでは片手落ちで、伝承や歴史的背景まで踏み込んだ受容を理解しないと掴めない部分が相当あるので(「テキストそのものと向き合う」みたいな素朴な態度が通用しないし、井筒訳の割注はまあまあ癖が強いのであれだけじゃって感じ)、とりあえず解釈の取っ掛かりとしてこういう基礎的な背景の解説はありがたい。著者の周辺から伺うムスリムの現状みたいな情報もリアルタイム性があって良い2024/05/30

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