内容説明
1892年アメリカ、16歳のジャック・ロンドンは初めて放浪の旅に出た。列車にタダ乗りして大陸を巡る旅は、苦しいながらも自由で、信じられない出来事の連続だった。無賃乗車や騙りの技術、刑務所でのサバイバル、警察との追跡劇、忘れがたいホーボー(放浪者)の仲間たち…『野性の呼び声』で知られる作家が、若き日の冒険を語る。生気に満ちた文体と鋭い視点が光る、アメリカ文学の隠れた名作。
目次
1 貨車のすきまに/2 食卓の幸運/3 鞭打ちの光景/4 刑務所の生活/5 作業所の囚人たち/6 最高の放浪者/7 ロードキッドの社会学/8 二千人の放浪者の行進/9 デカの追跡訳者/解説 川本三郎
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
92
ジャック・ロンドンという作家については予備知識なしで読んだ。 1890年頃、アメリカの大不況時に貨物車に忍び込み国内を放浪する ホーボーと呼ばれる人々について書かれた本。放浪といっても、 人生を楽しみながら吟遊詩人のようなホーボーも多くいたようで 著者自身ホーボー体験をして経験を元に描いている。 私が好きな「北国の帝王」という映画そのものの世界だった。 ジャック・ケルアックの「路上」という本は、このザ・ロードからも 影響を受けているそうだ、ホーボーについてもっと知りたくなった。 2025/05/05
Kajitt22
32
『野性の呼び声』など稀代のストーリーテラー、ジャック・ロンドンの若き日の放浪記。あのめくるめき物語の展開は、著者のホーボー時代物乞をするためのうそ話で培われたとは。19世紀末、貧困、空腹、物乞、窃盗、列車のただ乗り等の放浪生活、今まで思い描いていた自由とは違う過酷なホーボーの日々。それでも「あの丘を越えたい」と列車に飛び乗ったのだろうか。2024/08/31
bapaksejahtera
19
ジャック・ロンドンの1907年著書に翻訳注解を施した物で巻末に原著掲載の実演写真がある。著者の本は未読だったがジム・トンプスンの作品でホーボーに馴染んだ事から本書を読む。牡蠣の漁場荒しから放浪生活に入った著者は、物乞いで糧を得る事は、盗みより一段下るとして当初馴染めなかった。折から打ち続く恐慌の中、政治的デモの側面を有し将軍と呼ばれる指導者に率いられた浮浪集団に加わるがこれを抜け個別行動に。投獄を含む過酷な無賃旅行振りが述べられ、アメリカ人の心性の原点として興味深い。彼は数年の浮浪生活の後大学生活に入る。2025/04/12
ひでお
10
ジャック・ロンドンの自伝。ホーボーとしてアメリカ中を街から街へ旅し続けた時代の話です。著者が実際にホーボーだったのは数年間のようですが、その自由人の精神の根底はこのときに形づくられたのかもしれません。 その文書の端々に底辺で生きる人たちへの眼差しと反骨精神が感じられました。2025/03/18
かつみす
10
ジャック・ロンドンは10代後半の頃に、列車につかまってアメリカ各地を放浪してまわった。これはその時の回想録。どん底の生活を身をもって経験したことによって、底辺の人々への共感や、警察や国家の横暴に対する反抗心が培われたのだろう。列車への無賃乗車を阻もうとする制動手たちとの手に汗握る攻防、まれにありつける食卓でのおもてなし、刑務所生活の実態などなど、読みどころ満載。とても丁寧な注釈がつけられていることも本訳書の特徴だが、これを書いた人は居所が見つからないとのこと。ロンドンのように放浪の旅に出られたのだろうか。2024/04/24
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