講談社学術文庫<br> 日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ

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講談社学術文庫
日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ

  • 著者名:小林英夫【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2024/08発売)
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  • ISBN:9784065369104

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内容説明

■日本が敗れたのはアメリカにだけではない。中国に対する「戦略的敗北」、その根本的構造を明らかにする!■

1937年7月7日、中国の盧溝橋(現在の北京市の南西)近くで響いた十数発の銃声をきっかけに、日中両国は戦争に突入した。
国際法上の都合から宣戦布告なしに始めたこの戦争を、当時の日本人は「事変」と矮小化して呼んだが、8年間におよそ100万人もの兵員を中国に動員して膨大な死者をともなった近代日本最長の戦争を定義するには、不釣合いに軽い言葉だったといえるだろう。
いま日本人が昭和の戦争を振り返るとき、その関心の度合いは1941年から始まる太平洋戦争に比べればはるかに低い。
真珠湾攻撃より以前に、すでに日本はかつてないほど長期で大規模な戦争に突入していたということが、あらためて認識されるべきである。

本書は、日中両国の戦略の質的な違いをより明確にし、この戦争の構造をより正確に理解するために、「殲滅戦」と「消耗戦」という二つの概念を対比させて、この戦争の様相と、両国の勝因と敗因をよりくっきりと浮かび上がらせていく。
殲滅戦を支えるのは、軍事力や産業力などの「ハードパワー」である。一方、消耗戦の場合は、政治力や外交力、さらには国家の文化的な魅力をも含む「ソフトパワー」の戦いとなる。日中戦争とは、究極的にはこの二つのパワーの相克であった。こうした視点をもつことで、この戦争の本質のみならず、日中両国の現在もなお変わらない国家的な性格までをも見通すことができるであろう。

【本書の内容】
はじめに
序章 殲滅戦争と消耗戦争
第一章 開戦への歩み
1 満洲事変と抗日運動 
2 盧溝橋事件と日中開戦 
第二章 破綻した戦略
1 上海攻撃から南京虐殺事件へ 
2 将介石の戦略はなぜ生まれたか 
第三章 傀儡の国
1 欺かれた汪兆銘 
2 南京「傀儡」政権の樹立 
第四章 見果てぬ夢
1 太平洋戦争の勃発 
2 日本の敗戦と汪政権の最期 
第五章 二つのパワー
1 日本のハードパワー 
2 中国のソフトパワー 
第六章 『検閲月報』を読む
1 発掘された『検閲月報』 
2 第一期―第二期の『検閲月報』から 
3 第三期の『検閲月報』から 
おわりに 
主要参考文献 
年表

*本書の原本は、2007年7月に講談社現代新書より刊行されました。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おやぶたんぐ

6
“日ソ戦争”同様、“日中戦争”という呼称も余り使われないようにも思われるが、こちらは実質的にみて紛うことなき戦争だろう。本書は日本の敗北に終わった原因を、イデオロギー等から離れて戦略面で検討している。よく言われる”総力戦“的アプローチ(ttps://bookmeter.com/reviews/76476602)とは一味違う日本の“殲滅戦略”vs中国の“消耗戦略”という見方はとても興味深い。「速戦即決、すぐに効果が目に見えることばかりを重視する殲滅戦略的な考え方から、いまだに脱却できていない」(以下コメ欄)2025/04/30

atlusbou

1
ハードパワーとソフトパワー、殲滅戦略戦争と消耗戦略戦争という面から日中戦争を見るという試みです。筆者が言う様に蒋介石がどの程度当初から描いた通りになったのかは疑問ですが、欧米に訴えかけた中国に対して、あらゆる面に対して内向きだった日本という対比はその通りかと思いました。本書の半分くらい割かれている「検閲月報」の紹介では、当時日中の庶民がどう思っていたかを感じられる史料でした。2024/10/08

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