内容説明
読み手に迫る恐怖と情緒
「女が首吊ったわ。家のなかでな…」
住むと心が壊れる家、その曰くとは―― (「死にたがる男」より)
多様な怪異を引き寄せる!丸山政也が描く底知れぬ恐怖
怪談心中。重いタイトルである。怪談を聞き蒐めていると、時折、心中事件にまつわる話を伺うことがある。そういった話を聞いていると、常にひどくやるせない気持ちに囚われてしまう(あとがきより)。
・一緒に死んでくれませんか? 新宿の路上で声をかける男。その凄惨な曰くとは「死にたがる男」
・小瓶を呷った女は凄まじい痙攣とともに倒れた。旅館で見た奇妙な夢の続きは…「感応」
・妻と義母を刺殺し、子どもたちを絞め殺し…悲惨な凶事に遭った家族たち「運動会の写真」
――など74話。
凶事のその後、遺された思いや恨み底知れぬ恐怖とともに、貴方も一緒に逝きませんか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
64
実話怪談集。短い話を積み重ねていくというスタンスの一冊。語られている怪異自体は割とささやかで下手すると勘違いではないか。と思わせるような内容も幾つかあるが、そういう奇妙な話が幾重にも積み重なっていくうちにどこか異界に迷い込んでいくのではないかと思わせる感覚に陥って来る。著者らしく海外の話も多いが、一際印象に残るのは凄惨な話かな。毒を呷る女が一際凄惨な「感応」やある物を切っ掛けに一家を襲った凶事が光る「運動会の写真」等は特に。あとコロナで断念された心中だけで一冊を編む企画、何時か読んでみたいものです。2024/09/08
キナコ
18
夏になると読みたくなる短編ホラー集。亡くなったはずの人が写真に写っていたり、自分には見えていた人が他の人には見えてなかったりと日常に隠れているぞわりとした話が多め。各作品が短く、スキマ時間に一気読み。こういうよく分からない理不尽系って、たまに読みたくなるよなぁ。2024/08/30
eyemu
13
心中と銘打ってありましたが、心中話はチラホラ。 きっと著者さんの近所で起きたことが、心にあったからそれもタイトルの一因になったのかな?…と。 ただ、本とは別件で「心中とは?」と考えた。 私は古典だろうが何だろうが、恋愛絡みの心中は好きじゃないかも知れない。 特に出会った時期が悪かったとかで死んじゃう感じの。 現代風に言うなら、W不倫で倫理的に誰にも認められない自己愛に塗れた悲劇のヒロイン(及びヒーロー)気取って、周りに多大な迷惑かけて勝手に死んでるだけじゃないの?…とか、思ってる。 偏見だったらごめん。2024/09/11
柊よつか
13
丸山さんの単著。やはりいいなと噛み締めつつ読了した。奇妙な形の符号で、唐突に怪異と結びつけられた体験者の戸惑いが、トロッコに乗った読者の両脇を街路灯のようにすり抜けていく。海外の怪異も相変わらず面白い。その中に心中譚が点在し、じめっとした重さを与えている。特に印象的な話は、奇妙な符号を示す「誕生日会」「ベースの弦」「クリスマスカード」「ブラジルの少年」「あおり運転」「茶帯の男」、家族の繋がり「自動販売機」「あんた」「思惑」。中でも好きなのは、赤い帯が艶めかしい「感応」、赤線に纏わる奇譚「死にたがる男」。2024/08/11
澤水月
11
身内に自死者、無理心中者が(別個に!)いる身として怖々読み、丁寧に用字用語に気を配り言葉遣われていてホッと。渡るか渡らないかは紙一重。海外ものは著者真骨頂でいつも興味深い2024/08/06
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