内容説明
異界の住人が蠢く恐怖譚
「あのおじいちゃんたち、血が通ってないみたい」
隣室に住む不気味な男たちとは―― 「老人」たち
あのとき迷い込んだのは――
彼岸の不思議と恐怖を描く異世界怪談
沖縄は此の世と彼の世が混じり合い、精霊や妖怪がすぐそばに蹲る土地――沖縄に住み土地の怪談を書き続ける著者による、異世界に迷い込んだ不思議と恐怖譚を再録含めて収録する。
・囲炉裏の赤く燃える炎の中から呼ぶのは…「いろり」
・海から漂ってきた黒い靄とともに聞こえる呻き「モーレイ」
・もう向こうに行くことにした、と呟いた祖父は忽然と消えて…「万馬券」
・祭りの日、四辻に立ってこちらを見ている男は一体…「道ジュネー」
・アパートの隣室に住む不気味な集団の驚愕の正体「老人たち」
――など。
見えない世界に誘われ、気がつけば戻れない。そんな異世界の扉が――開く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
57
実話怪談集。著者らしく沖縄の話が中心であるが、いつも通り怖い中にもどこか懐かしさや優しさが含まれているような読み心地。これは沖縄の風土が持つものか、著者の人柄が滲み出してくるものか。怪異というか異界そのものが我々と皮膜一枚隔てた隣に存在しているような駘蕩とした話が多いのであるが、「いろり」の囲炉裏の中の怪異や「モーレイ」の海から来るもの等、どこか民話を思わせる話が特に印象に残ったかな。あと神隠しとタイトルにあるけど、人が不意にいなくなるという神隠しがある一言で妙に怖くなる「万馬券」もまた良かったです。2024/09/05
あたびー
39
沖縄の怪談が他所の怪談と違うところは、直ぐにユタとかノロとかカミンチュと言ったスーパー能力者が出てきてアドバイスをくれたり解決してくれるところだ。また、沖縄には、ナイチャーより怪異を受け入れる土壌が出来ている人が多いと言うのも特徴だと思う。「バナナ沼を巡る話」では、そうした事情を悪用するという信じられない事もあるのだなと驚いた(しかしやっぱり報いを受けている)。小原さんは京都の人なので、京都の話も少し入っている。絶版本に入っていた、お掃除の人に教えられてしまうオバアの話は大好きなので再録嬉しかった。2024/07/28
雨
27
お久しぶりの小原さんの沖縄怪談。 妖怪だったり霊だったり。不思議なものが常にある印象だった。2024/08/20
ネムコ
23
思わず顔がニヤける小原猛さんの新作。沖縄の知らない言葉とかいっぱり散りばめられていて楽しい。今回は昔の本の再録もあったそうですが、読んでても忘れているので無問題!(笑)2024/08/12
柊よつか
9
沖縄怪談の名手、小原さんの単著。約半数は、絶版で電書化もしていない2012年刊行本からの再録。出会いを逃していた話に巡り会うチャンスを貰えて嬉しい。再録で特に印象的な話は、「バナナ沼を巡る話」「この家売ります/へらどま」「智恵のある人」「滝から落ちる夢」。新録で特に印象的な話は、「キジムナー封じ」「巡る」「万馬券」「ヌジファ」「老人たち」。再録新録どちらも面白かった。沖縄の怪異は輪郭が濃いなと改めて思う。現象より霊と呼ぶ方がしっくり来るような。半透明だがくっきりしたモノが、元気よく動き回っている印象。2024/08/19
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