内容説明
時は明治。
岡山から上京したばかりの若き怪奇小説家・光金晴之介は、
世界探検家を自称する豪傑・春日野力人の、冒険記のゴーストライターを務めることになる。
馬来半島、泰、緬甸、印度。
亜細亜中から送られてくる力人の体験談は、
おぞましい憎しみと叫び、そして不可解な謎に満ちたものだった。
晴之介は同居人の美しい少女・楠子とともに、複雑怪奇な謎を解き明かしていくが――。
忌まわしき故郷の「キバコ」の記憶、海を越え日常を浸食する異界の住民。
そして襲い来る、言葉を失うほどの恐怖とは。
『ぼっけえ、きょうてえ』を超える、驚愕のホラーミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
79
表紙ほどのおどろおどろさはないかも。志麻子さんらしい得体が知れない底の深い闇みたいなものは感じますが。明治の頃の話。岡山から小説家の男・晴之介が上京する。同居することになった楠子という女性がまた不思議な存在。詳細は㊙にしておきましょう。彼の元に冒険家の男からゴーストライターの依頼が入る。アジアを旅する冒険家の話が謎と不思議さに満ちて実体験とは思えない話ばかり。楠子と共に推理さえ始める晴之介。この辺りはちょっと真面目な(?)志麻子さん。後半の展開が予想外になるのが面白い。おんびんたれ=臆病者。2024/08/04
HANA
56
時は明治時代。売れない小説家の主人公は東南亜細亜を探検する者のゴーストライターを引き受けるのだが…。表面は探検家の奇怪な話を綴るという枠物語なのだが、主人公の言動や心象がそれらと重なり覆い、鬱々として亜細亜の密林を熱に浮かされつつ彷徨っているような気分に襲われてくる。売春宿や象の群、獄中等探検家の語る話も奇怪なものが多いのだが、それを小説として書き記していく主人公の文章もそれに輪をかけて奇妙。さらには主人公と恋人の境遇がそれと重なり合い…。探検家と作家、東南亜細亜と岡山が重なり合うような独特な一冊でした。2025/06/04
mihya
38
明治の後期、ヒモ生活を送る駆け出しホラー作家はゴーストライターとして冒険家の体験を書き起こすことになる。 外国での奇妙な出来事、不穏な人物との出会い。物語(あるいは夢)と現実の境界が曖昧になっていく。読んでる自分も目眩がするような感覚になる。2025/04/25
あたびー
34
時は明治末年。幼時に姐やから怖い話を聞かされ怪談書きになった晴之介は、不鳴不飛の高等遊民。東京で知り合った半陽の女楠子に養って貰う生活だが、探検家力人から自分の探検記の代筆を頼まれる。刻々と送り込まれる力人の体験メモ。それを読む内に晴之介と楠子まで南洋の冒険の怪しい物語に取り込まれたような気持ちになる。最後に明かされる、家人が皆否定する謎の姐やの真相。力人から送られる体験談が沢山読みたかったので、もう少し長めの小説に仕上がっていても良かったのでは?と思った。2024/08/16
くさてる
29
おお、岩井志麻子だ。わたしの好きな志麻子だ。幻想的で、夢と現の間があいまいで、なにが本当か嘘か分からないけれど、生々しい情念と人間の持つ苦さはリアル。そこにゆらりと浮かび上がる、存在しないはずの、死者。そこが怖い。この著者は本当に「この世のものでない」存在を描くのがうまい。タレントとしても知られる著者だけど、わたしは作家としてずっと好きなので、この調子で小説を発表し続けてほしいと思います。買い支えます。2024/09/03
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