内容説明
破壊的じゃない「私」の人生はつまんない――? 芥川賞をとってなお自分に自信が持てない作家が、この世界を言葉で立て直す。第48回川端康成文学賞受賞作を含む〈新しい私小説〉連作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
174
作家町屋良平が、私の文体·労働·推敲·批評·大江について語る、私小説なのか擬似小説なのか、純文学なのか不純文学なのか。イマジナリーに慰めながら書き上げる、この小説を「ガチ」に熟読すべきなのか、「エンジョイ」で流し読むべきなのか。やっぱりその中間が正解なのか。文学の枠をぶっ壊す檄文とも受け取れる。2025/01/20
starbro
157
町屋 良平は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 タイトルどおり、私小説、このタイミングで出す作品なのか疑問です。著者は、売れない芥川賞作家になりつつある気がします。 著者は、本当に町屋に住んでいるのでしょうか❓ https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309031965/2024/08/04
nonpono
42
川端賞。未知の作家。うーん、読むのに時間がかかった。なかなか入り込めず。自問自答のような禅問答のようなものが続く。人があまり動かない。ベースには、「わかっている。私は「私」が無理なのだ」という自己嫌悪。わたしも私が苦手で子供も得意じゃないから、出来なかったかもしれないが、あえて子供を作らなかった。それはわたしが嫌いでわたしを残したくないから。また、「目の前の相手の気持ちに寄り添うことができないから、金やモノで解決」も共感。これしか出来ないしこれさえも出来ないこともある。著者の生き様に興味を持ち始めている。2024/10/03
いちろく
26
作中でも触れられた「私小説」なのか? それとも「エッセイ」なのか? という疑問がどうでもよくなるぐらい著者の内面が描かれている印象もあった内容。感傷的な部分や病的な部分にも触れられていて、面白いと思うことが失礼と思いつつも、興味深く読み終えた作品だった。「私」というコトバで描かれた主観的な内容と客観的な内容が共存する文体もあり、私は好きな一冊だった。2024/11/19
練りようかん
18
連作集。心療内科に通い執筆作業が進まぬ私。生きるのが苦しいのかと思う始まりだが、自虐やアイロニーはカラリとして文体のリズムがするすると読ませる。著者自身のことかなと思わせる私の設定で、書く私と書かれる私の突き詰め方は相当だ。自身の加虐性やどっちつかずの感覚を開いて見せておきながら、生育環境が影響した愛と信頼は思いっきり閉じている内省が興味深い。バドのパートナーが軽いんだが重い人かわからなくて面白い「私の労働」、母と祖母の毒発言が衝撃で人の演技性を巧みに描いた「私の批評」が特に好きだ。祝・芸術選奨&川端賞。2025/06/20
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