内容説明
人気作家が腕によりをかけて紡いだ、
24篇の「とっておきのお話」。
生きていくためには
必要ではないかもしれない。
でも、日常を繰り返していくためには
はならないものたち。
喫茶店〈ゴーゴリ〉の甘くないケーキ。
世界の果てのコインランドリーに通うトカゲ男。
映写技師にサンドイッチを届ける夜の配達人。
トランプから抜け出してきたジョーカー。
赤い林檎に囲まれて青いインクをつくる青年。
三人の年老いた泥棒。空から落ちてきた天使。
終わりの風景が見える眼鏡──。
全作品、原稿用紙10枚程度。
寝る前の5分間、この本をめくってみてください。
必ずお気に入りの1篇が見つかるはずです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
740
あとがきにいう「一日の終わりの寝しなに読んでいただく短いお話」が全部で24篇。いずれも事件らしいものは何も起こらず、静かな動きのうちに、いわば淡々と物語が進行してゆく、いつもの吉田篤弘の小説。タイトルの『月とコーヒー』は、まさにこの小説集を象徴する。夜であること。光はあるが、それが柔らかくあえかであること。月の光のように。クールさも必要。読み終えたら消えて行ってもいい。印象もまた強い必要はない。否、むしろ残像だけが残るのがいいのである。振り返ってみると、登場人物たちはちょっと変わっていたな、とふと思う。2023/10/15
ちくわ
313
月とコーヒーが絡んだ何とも不思議な雰囲気に包まれた短編集。特に何かテーマがあるようで無いような…喜怒哀楽のどれともつかない感情を抱きつつ話が進む。5分もあれば読み終えられるほど1話が短いのに、読後の余韻というか…描かれていない余白を自分なりに咀嚼する時間の方がよっぽど長く掛かる短編である(笑)。メインで読むには物足りないが、隙間時間を埋めるプチ読書にオススメな本かも!? 私見だが、登場人物の多くが一般名詞かカナ表記なのが印象的だった…このディテールがクッキリとしない感じが、月夜っぽさを醸し出していたかも。2025/07/07
けんとまん1007
271
吉田篤弘さんならではの世界。ショートソート集。いつも以上に、静けさを感じる文章で綴られている。あとがきを読んで、なるほど・・と、納得。いくつかのものがたりが、「あっ、これは・・・」と。月を眺めながら、珈琲をいただきがら、ページをめくる時間って、いいなあ~。2021/09/18
あや
260
24のお話がおさめられた短編集。 作者があとがきで書いているように、一日の終わりの寝しなに読むにふさわしい物語でした。 2019/04/09
あんこ
202
深夜1:11読了。短編集のタイトルが素敵だ。そして、その中にあるそれぞれの短編のタイトルも。どういう物語なのか想像するのが楽しかった。読み進めるうちにお腹がすいて、こんな時間にサンドイッチとコーヒーが恋しくなってしまった。ですます調の優しい文体が心地良い。どの物語も「あれ、この人たちはこの後どうなったの?」と続きに思いを巡らせてしまって、きっと今もどこかで彼らは生活をしているのかと思うと心の底がほんのり温かくなる。SFのようで、美しくて少し哀しい「白い星と眠る人の彫刻」が心に残った。眠れない夜のお供に。2019/06/19




