内容説明
ロングセラー『水中の哲学者たち』で話題沸騰!
対話する哲学者・永井玲衣、待望の最新刊!
見ることは、わたしを当事者にする。
共に生きるひとにする。
世界をもっと「よく」見ること。その中に入り込んで、てのひらいっぱいに受け取ること。
この世界と向き合うための哲学エッセイ。
わたしはどうやら、時間が流れていくにしたがって、
何かが消えるとか、失われるとか、忘れられるということがおそろしいらしい。
ここに書かれたもの。その何倍もある、書かれなかったもの。
でも決してなくならないもの――。
生の断片、世界の欠片は、きかれることを待っている。じっとして、掘り出されることを待っている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
134
良いですね。 この人も私の推し。新刊です。繊細な感受性。哲学者ですが、歌人の匂いがするな、と思ってたら、今回は随分若手短歌の紹介が多かった。やっぱり。2024/12/22
けんとまん1007
82
人は絶えず物事を考えている生き物だと思う。意識するしない、その程度の違いはいろいろある。考えること、それ自体が言語化すること・表現することにつながる。ただ、なかなかスッキリしないこと・モヤモヤしたものが残ることも少なくない。それでも、考え・言語化しようとすること。その意義を考えさせられる。自分が存在していることに立脚することから始める。2024/10/17
とよぽん
67
タイトルから、世界を保存? って何だろうと思う。読んでみると、保存するというのは手渡すということなのか、と落ち着いた。世の中のいろいろなことが不適切に保存されている現実に対して、筆者は「だから、何度でも語りなおすのだ。思い出しなおすのだ。それは保存しなおされる。」と、たくましい。そもそも、なぜ不適切な保存がされているのか? 人為的なものなのか、物理的なものなのか、能力的なものなのか・・・。何であれ、不適切な保存の結果、事実がなかったことにされるのは決して認めてはいけないと思う。2025/01/16
ネギっ子gen
64
【生まれて死ぬなら今この時間って意味なくない?/過ぎたりして絶対にとまることのないさらに長く感じていたいふしぎなふしぎな時間とは何か!!/宇宙はどこ。/自分は小さい頃“主人公”と思っていた 今でも】「よくわからない話」に掲げた、この問い掛けこそ、正にわたしの幼少時からの問い。深く共鳴した哲学エッセイ。<問いが生まれて、消えていく。問いはこわれやすい。気まぐれにやってきて、わたしたちに何かをささやき、とらえきれないままにどこかへ行ってしまう。だからわたしはあなたの問いの手をつかんで、適切に保存せねば>と。⇒2025/03/14
はっせー
50
本書は哲学者の永井さんのエッセイ!前作である『水中の哲学者たち』の続編にあたる作品。前作を読まなくても問題ない!本書からチャレンジするのもあり!前作と本書との違いは引用されているものかなって思う。前作は哲学者の著作の引用が多い気がする。しかし本書では詩や短歌のが多かった!その影響かわからないですが、前作より抽象的なことが多かった。本書は永井さんが経験したことについて少しずつ深めながらも各視点で広げていく感覚がある。そして経験した内容を適切に保存するための言葉探しをしている。2025/04/24