内容説明
第1章では、リベラル国際秩序の歴史と将来を論じる。中ロやトランプ氏などの影響だけでなく、自由主義と秩序の根本的なジレンマに加え、工業国家モデルを揺るがす新たな社会状況に即した安定的な政治秩序の発見が将来を左右すると主張する。
第2章では、金融・通貨体制を巡る米中対立を分析した。米国が通商分野で対中攻勢を強める前から、中国は米ドル覇権の弱体化を狙い、西側主導の国際経済体制の内側から外側へと活動を広げてきたと指摘、米中による共同覇権は困難だと見る。
第3章では、米国の経済政策の潮流変化を分析した。市場原理重視の新自由主義から、「大きな政府」による課題解決重視の「新ワシントン・コンセンサス」への転換が、今後の国際秩序にもたらす期待とリスクを論じている。
第4章では、国際通商秩序の変容と行方を展望した。トランプ米政権以降、従来の多国間自由貿易体制は、安全保障化、分断化、非法化の3点で変化しつつあり、今後もこの流れが続くことを前提に自由貿易体制のver.2 を探るべきだと指摘している。
第5章では、アジアが正面となる「新冷戦」時代に戦争を防ぐ道を考察した。日独が米国を支えつつ、NATO と日韓豪、ニュージーランドがグローバル・ウエストの安保協力体制を築くことや、中ロを含む軍縮・危機管理と信頼醸成の枠組み創設を提唱する。
第6章は、EU が新たな地政学的現実を前に、理念と実利の二兎を追って揺れる姿を描く。規範や理念を掲げリベラル国際秩序を守ることは、EU にとって利益確保と存在意義のアピールにつながっているという見方を提示した。
目次
第1章 21世紀世界の挑戦と西側世界――リベラル国際秩序の歴史と将来(中西寛 京都大学公共政策大学院教授)
第2章 米中対立と国際経済体制――金融・通貨体制を中心として(飯田敬輔 東京大学大学院法学政治学研究科教授)
第3章 米国:新ワシントン・コンセンサスの挑戦――経済政策の潮流変化と国際秩序(安井明彦 みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部長)
第4章 自由貿易体制ver.1 の終焉とver.2 への展望――安保志向、断片的、非法的なレジームへ(川瀬剛志 上智大学法学部教授)
第5章 安全保障:「グローバル・ウエスト」の可能性――米欧とアジアつなぐ新・安保構想(岩間陽子 政策研究大学院大学教授)
第6章 欧州連合(EU)の理念と実利――リアリズム・パワー化はどこまで進むか(刀祢館久雄 日本経済研究センター研究主幹)
感想・レビュー
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