筑摩選書<br> 人種差別撤廃提案とパリ講和会議

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筑摩選書
人種差別撤廃提案とパリ講和会議

  • 著者名:廣部泉【著者】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 筑摩書房(2024/07発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480018038

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内容説明

1919年パリ講和会議、それは日本が初めて大国として世界の檜舞台に立った瞬間だった。日本による人種差別撤廃提案は、人種差別否定という重要な世界史上の意味を持つと同時に、大国日本が国際会議で注目を浴びた最初の案件だった。本書は日本が有色人種のために利他的に人種平等を主張した提案だとことさら持ち上げるのでも、山東権益の取引材料として持ち出しただけと貶めるのでもなく、人種差別撤廃提案の真実の姿を明らかにし、その歴史的意義の正当な評価を試みるものである。

目次

はじめに/第一章 誰が人種差別撤廃提案を起草したのか/日独戦役講和準備委員会/ウィルソンの一四カ条/一一月一三日の外交調査会/「十四箇条ニ対スル意見案」/駐日米国大使の警戒/一一月一九日の外交調査会/国内の反応/誰を派遣するのか/西園寺・牧野に託すまでの経緯/一二月八日の外交調査会/牧野一行出発/国内世論の高まり/北米大陸横断/一二月二二日の外交調査会/西園寺出発/第二章 日本全権、パリで活動開始/牧野一行のパリ到着/ウィルソン出発/英仏代表団到着/日本は五大国か/国際連盟設立が前提/排日移民問題とパリ講和会議/米代表団への働きかけ/石井・ハウス会談/牧野・珍田、ハウスに会う/ハウスとセシル/ハウスとバルフォア/ベーカーの意見書/第三章 国際連盟規約案修正の試み/二月一三日の国際連盟委員会/二月一四日/ウィルソンの一時帰国/日本国内の反応/人種差別撤廃期成同盟会/日本政府の反応/諦めるわけにはいかない/石井駐米大使の活動/被差別民族の利用に関して/抑えに回る原首相/中国国内の反応/汎アフリカ会議/第四章 ウィルソンの心変わりと豪首相の抵抗/ついにヒューズと対面/ウィルソン変心の兆候/石井大使の演説/東京からの催促/三月二〇日の請訓/前文の一部として/セシルに斡旋依頼/英自治領首脳たちとの会合/ルート元国務長官の助言/ヒューズは制御不能/ヒューズの積極的動き/スマッツの協力/「先ツ絶望ノ模様ナリシ」/スマッツの協約案/スマッツの国内管轄事項提案/三月三〇日の外交調査会/日本全権の驚き/四月も努力継続/カリフォルニアでの動き/国内世論の高まり/モンロー主義/第五章 連盟規約前文へ挿入の試み/四月一一日の国際連盟委員会/セシルの反対/伊仏の賛同/票決/西園寺はいない!? /第六章 山東問題と人種差別撤廃提案/三巨頭と会談/三巨頭、中国全権とも会談/二五日の三巨頭会談/講和会議脱退あるのみ/確約を求める日本/ヒューズの決意/第七章 四月二八日の攻防/バルフォアの覚書/バルフォア登場/四月二八日の総会/第八章 余波とその後/ランシングの失望/全権の報告/国内の不満/ハウスの説明/国外の反応/日本は主張し続けたのか/オーストラリアの警戒/カリフォルニアの警戒/国内のわだかまり/第一回国際連盟総会/規約改正委員会/国際連盟協会連合会/人種問題研究委員会/第六回国際連盟協会連合会総会/国際移民会議/「排日移民法」と連盟総会/ジュネーブ議定書/日本の国際連盟脱退以後/新たな国際機関設立への動き/出発点としての人種差別撤廃提案/おわりに/参考文献/人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ポルターガイスト

4
パリ講和会議での人種差別撤廃提案について,会議参加者の思惑を時系列に沿って細かく描写している。前書きで述べられている通り,極端に国粋的,または露悪的に描かれがちなテーマをクールに処理できていると思う。各国代表のやりとりがスリリングで面白くサクサク読める。移民への反発・人種差別撤廃提案・アメリカの国際連盟不参加が一本の線で結ばれたり,山東問題に象徴される大正デモクラシーの暴走がここにも見られることを実感したり,有意義だった。2024/08/27

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