内容説明
731部隊の闇と戦後史の謎に迫る!
雑誌『政界ジープ』創刊、ミドリ十字創設、731部隊隊友会、日本イスラム教団――
残虐な人体実験・細菌戦を実行した医師がたどる戦後の数奇な運命
GHQと旧軍情報将校の合作による731部隊「隠蔽」「免責」「復権」の構造
731部隊で結核・梅毒の人体実験を企画・実行した二木秀雄。
戦後GHQによって免責された彼は、故郷の金沢で時局雑誌刊行を始め、政財界にも人脈を広げる。
個人の一生をたどりながら、戦後に連続した731部隊の隊員たちの活動と、医療民主化の裏側での医学者たちの復権をアメリカ公文書などの新資料から明らかにする。
ワクチン接種開始当初から慎重な立場を取り、国内のデータを中心に分析した結果からそのリスクを指摘してきたがん専門医が問う、“すべてが変わった4年間”の検証。
目次
プロローグ 歴史認識として甦る「悪魔の飽食」
第一部 七三一部隊の隠蔽工作と二木秀雄
第二部 七三一部隊の免責と『政界ジープ』
第三部 七三一部隊の復権と二木秀雄の没落
エピローグ 七三一部隊における慰霊、二木秀雄における信仰
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
16
元七三一部隊総務部企画課長 二木秀雄の生涯を通して、戦後昭和史の裏面を照射。興味を引くトピックスがてんこ盛り。とりわけ二木が創刊した時局雑誌『政界ジープ』で、1948年10月号で組まれたゾルゲ事件特集はGHQ・G2からのリークの可能性があると示唆した件は興味深い。戦後G2ウィロビー将軍に近づき、七三一部隊の隠蔽に大きな役割を果たした「有末機関」や、その後の「河辺機関」、「服部機関」等の暗躍。反ソ反共の動きに乗じて復権を果たそうとする元軍人たち。時代の空気感が濃密すぎる。2017/07/19
CTC
7
17年5月花伝社刊。著者は政治学・現代史が専門の一橋大名誉教授。豊富な先行資料を用いて、元731部隊総務部企画課長で、結核や性病を担当した二木秀雄の戦後を追うことで731部隊が引きずる闇に迫る。 二木は帰国後速やかに出版社を立ち上げて、免責工作の一翼を担い、それが実現したよりは、関係者の医薬業界での社会的復活に関係した。特にのちのミドリ十字、日本ブラッドバンク設立では資金収集で大きな役割を担い、自身も大資金を投入し取締役に名を連ねた。自身が創業した出版社は業界ゴロの温床となり「戦後最大の恐喝事件」も招く。
sasha
3
研究データと引き換えに戦犯訴追を免責っていいなぁって言ったら不謹慎か。上官の命令に逆らえず捕虜を殴ったと戦犯に問われた人もいるんだよな。それを考えると戦争裁判ってなんだろうと思うわ。731部隊については中心的人物であった石井四郎のことくらいしか知らなかったので興味深く読んだ。戦後に二木たちが設立した日本ブラッドバンクは後々の売血問題の引き金になったのかもな。2017/08/08
turutaka
1
人体実験を行っていた石井四郎率いる731部隊のお偉いさん方が、連合国に対して戦犯の免責を取り付けに行ったかを詳細に(少し偏っているが)描いている。まったくもって胸糞悪い連中だ。そして戦争犯罪、東京裁判なんてもんがどれほど茶番だったか分かる。体制がガラリと変化したときに、どれだけ美味しいとこどりを出来るか。終戦時それをやった連中が今の日本の体制を作り上げたのだろう。悪として描かれる731の残党。聖人として描かれる白洲次郎なども結局同じなのかもしれない。少し戦後史を掘り下げたい。
zatugei
0
七三一部隊の人々の戦後を追う。第二次大戦後も世界はバラバラで、その隙間にうまく入り込んで生き抜く人たち。彼らを利用するアメリカとソ連・中国。終戦ではなく貫戦という言葉があることを初めて知った。人名、書名が多く、かなり読みにくい。2017/09/22
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