朝日新書<br> 賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛

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朝日新書
賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛

  • ISBN:9784022952745

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内容説明

なぜ日本の賃金は上がらないのか──。日本型制度の「決め方」「上げ方」「支え方」の仕組みを、歴史の変遷から丁寧に紐解いて分析し、徹底検証。近年の大きな政策課題となっている問題について、今後の議論のための基礎知識を詰め込んだ必携の書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

61
ここ10年くらい政治経済系の授業を担当していないので、この手の本から離れていたため、リニューアルを考えて読んだが、大当たりの1冊だった。現代の日本の賃金について、そのしくみを丁寧に説明しており、しかも読みやすい。日本型雇用慣行を定着させたのが戦時中の統制だったことにはびっくり。定期昇給制度のため「失われた30年」の時期に賃金水準が上がらなくても特に強い不満が起こらなかったことを、しくみを図解して説明しているのもありがたかった。ただ、労働組合のふがいなさを指摘するが、政権による組合潰しについては言及なし。2024/08/25

よっち

31
日本の賃金が上がらないのは定期昇給があるから!?誤解だらけの「職務給」「ジョブ型雇用」や沈滞する日本の構造的問題点を考える1冊。日本の賃金制度は、どのように確立されてきたのか。雇用契約、賃金契約、労使関係それぞれのジョブ型、メンバーシップ型の違いに始まり、戦前→戦時→戦後→高度成長期→安定成長期→低成長期と賃金制度がどのように変化していったのか、賃金の上げ方や最低賃金制度がどのように推移していったのか。上げなくても上がるから、上げないので上がらない歴史を積み重ねてきた日本の賃金制度がよく分かる1冊でした。2024/08/07

ATS

16
賃金についての歴史を資料や引用をもとに記している。歴史的な資料の列挙といった体で門外漢の自分には難しく斜め読み。日本の賃上げは定期昇給とベア(ベースアップ)。定期昇給があるので不満感は少ないようだが年齢比率によるが総体的に人件費が増えない傾向にある。名目・実質賃金ともに97年を境に右肩下がり。可処分所得も97年から横ばい。97年といえば消費税が3%から5%に増税された年だ。バブル崩壊して緊縮財政が強化されていくなかで政府支出は抑制され個人消費は冷え込んでいった。デフレスパイラルとなり失われた30年となる。2024/09/13

Francis

16
「ジョブ型雇用」「メンバーシップ型雇用」の言葉と共に有名になった労働法研究者濱口桂一郎先生の新著。メンバーシップ型雇用社会である日本特有の賃金制度「年功型賃金」の歴史。労働組合、経営者そして国も世界的には標準となっている雇用制度「ジョブ型」に転換しようと何度も試みたのだけれどもそれがことごとく挫折した歴史でもある。私も「年功型賃金」に人生を左右されてしまい、メンバーシップ型雇用制度同様に何とかしてほしいと思っているのですが…。濱口先生が巻末で労働組合の団体交渉の活性化を呼び掛けているのが一番の救いです。2024/07/24

ザビ

15
日本の給与と、それにまつわる政府や法改正の歴史。賃金の基本概念は仕事(ジョブ)に値付けされた対価が世界基準。一方、日本の給与は年齢や勤続年数に比例した「生活給」という特殊な概念を持つ。何故か?「(仕事の)能力とは、企業構成員として企業目標達成のために貢献する職務遂行力であり、それは一般に体力・適性・知識・経験・性格・意欲から成り立つ」1960年代の日経連の提唱。つまり日本の場合、労働契約したジョブの遂行ではなく、会社にどれだけ貢献したかがジョブの本質だという。企業はその貢献に報いるかたちで構成員の生活を→2024/11/16

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