内容説明
忘れてもいい。思い出してもいい。君が幸せなら、それだけで――。感涙必至! 「記憶」に悩む人々が集う、不思議なアパートの物語。 ◇あらすじ そのアパートの住人たちには、不思議な共通点がある。それは全員、「記憶」に関する悩みを抱えていること――。記憶喪失の男子高校生、前世の記憶があるOL、若年性認知症の男性、胎内記憶を持つ女の子……そして、大家である「坂下さん」にも、ある秘密があった。 つらい思い出は忘れたほうが幸せなのか、自分の記憶は本当に正しいのか。現代人の悩みに優しく寄り添う、感動の連作短編集。文庫書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
築三十年の木造アパート「メモワール」の住人たちには不思議な共通点がある。「記憶」に悩む人々が集う、不思議なアパートの物語を描いた連作短編集。交通事故で大切なことを忘れてしまった記憶喪失の男子高校生、前世の記憶があるOLが忘れたくて封じた記憶、事故の影響で若年性認知症となってしまった男性の苦悩、胎内記憶を持つ女の子が取り戻した優しい記憶。どこか掴み所がない大家の坂下さんでしたけど、彼女なりのやり方で住人たちの記憶に関する悩みに寄り添い、彼らも向き合うことで乗り越えていくそれぞれの結末はなかなか良かったです。2024/07/09
のんちゃん
28
坂下凪咲が管理人を勤めるアパートには記憶に問題のある人々が住んでいる。記憶喪失の高校生、前世記憶のあるOL、若年性認知症の元会社員、体内記憶をもつ中学生等。そして凪咲自身も超記憶症候群という、全ての記憶を忘れないという疾患を持っていた。辛さを忘れる為、記憶に蓋をしたり記憶をすり替えてしまう話が特に悲しかった。装丁からファンタジーかと思い読み始めたが、現実の話で、結構、辛いものだった。それでも、アパートの庭にある桜の木と春に舞うその花びらが記憶という半ば曖昧なものを美しく際立たせ、辛い話を温かい涙にかえた。2025/04/12
み
17
タイトル読みした作品、初読みの作家さん。何となく読了。空気は温かいけど、お話しとはいえ、お話しな感じが…。あたしには合わなかったです。2025/04/28
ベローチェのひととき
16
妻から廻ってきた本。4編からなる連作短編集。そのアパートの住人は全員記憶に関する悩みを抱えている。記憶喪失の高校生、前世の記憶があるOL、若年性認知症の男性、胎内記憶がある少女、そして記憶を全て記憶している大家の坂下凪咲さん。記憶というものは非常に厄介だと思った。想定外の出来事が発生した場合、自分の心を守るために記憶の改ざんが行われるのだろうな。2025/04/19
ぐっち
14
記憶に関する悩みを抱える住人たちと、何一つ忘れることのできない管理人が住むアパート「メモワール」。80%は忘れてしまうという記憶の中に大切なことが隠されている。やさしくてちょっと切ない短編集。2025/03/09