ちくま新書<br> 写真が語る満州国

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ちくま新書
写真が語る満州国

  • ISBN:9784480076335

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内容説明

満州民族、漢民族、朝鮮民族、蒙古民族、日本民族が協力し争いのない平和な国づくりを目指した満州国。満州躍進の象徴となった特急「あじあ」号、日満親善のアイコンとなった満映の李香蘭、智謀・石原莞爾参謀が「世界最終戦争」のために引き起こした満州事変、清朝復活の執念にとらわれた皇帝溥儀、国策で満州に渡った二七万人の満蒙開拓団……。五族協和の王道楽土を夢見た約一五五万人(軍人を除く)の在留邦人はどう暮らしたか。ソ連による満州侵攻、日本敗戦によって、彼らに何が起こったか。わずか一三年あまりで消えた実験国家の建国から崩壊まで貴重写真でひもとく。

目次

満州国略図/はじめに──満州と日本人/序章 日本の新帝国主義/日露戦争勝利の対価/国策会社・満鉄の誕生/東インド会社を手本にした満州経営/夏目漱石が見た満鉄付属地/第一次世界大戦と日本の青島攻略/満州永久独占「対華二十一カ条要求」/軍閥割拠の時代/満州駐屯軍「関東軍」の登場/第一章 満州永久支配/張作霖爆殺事件(満州某重大事件)/張学良の抗日政策/事変前夜の万宝山事件と中村大尉事件/満蒙領有の謀略開始/「事件」から「事変」へ/独立国家樹立「満蒙問題解決案」/愛新覚羅溥儀の天津脱出/軍閥四巨頭による満州独立宣言/政府要職を占める日系官吏/国際連盟脱退と熱河作戦/第二章 王道楽土の理想顕現/「五族協和」と「王道楽土」のスローガン/傀儡国家の根本理念/日本人が暮らした主要都市/満映の誕生と甘粕正彦/満映の一枚看板・李香蘭/満州のユダヤ人自治区/大戦勃発で頓挫したユダヤ人定住計画/七三一部隊が繰り返した人体実験/満州国のアヘン経済/第三章 満州産業開発五カ年計画/満鉄と関東軍の相克/産業開発計画という名の戦争準備/巨大コンツェルン「満業」設立/中国人出稼ぎ労働者の存在/強制連行で補った労働力/第四章 拓け満州の大沃野/武装した開拓移民団/先住農民を追い立てた入植事業/一〇〇万戸・五〇〇万人の農業移民計画/「右手に鍬、左手に銃」満蒙開拓青少年義勇軍/一〇〇万人送出を目指した「大陸の花嫁」/第五章 日満一徳一心/日満一体、皇帝溥儀の初来日/皇弟・溥傑の政略結婚/関東軍の満蒙完全支配/太平洋戦争と関東軍/日本の兵站基地・満州国/小銃もない「根こそぎ動員兵」/終章 満州国の滅失/ソ連軍一七五万人の満州侵攻/全滅する満州東部国境の要塞/国境戦線各地の挺身肉弾戦/満州国皇帝の退位/ソ連軍による開拓団襲撃/六〇万人のシベリア抑留者/おわりに──満州と戦後日本/満州国関係略年表/主要参考文献および写真提供・主要出典

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まると

21
溥儀や弟の溥傑ら歴史上の人物を写した貴重なカットのほか、新京、奉天、大連など主要都市の街並み、開拓移民の様子など、わずか13年で幻のように消えていった満州国の姿を写真でリアルに伝えている。各章の写真の後の説明文が簡にして要を得ていて、満州国の基礎を学ぶことのできる入門書にもなっている。こうして概括されると、日本が謀略により中国に傀儡国家を作ったという史実には改めて驚かされる。小学校の担任の先生が満州出身と言っていたのを思い出した。彼女やその家族はどんな苦労をしたのだろう。今ではそんな語り部も貴重な存在だ。2025/08/09

アドソ

15
最近はNHKの「バタフライエフェクト」でも、未公開映像とともに20世紀の歴史を振り返る番組が多数放映されている。本書は満州国の歴史を垣間見ることのできる写真集だが、当時を知る生存者も少なくなっていくなか、このように事実を淡々と記録した本は貴重だと思う。印刷も高精度だし、紙質もよく、つくった人たちの満州国への愛情が感じられた。2024/12/27

ジュンジュン

14
五族協和→あたかも各民族の権利が平等で固有の文化を尊重するかのようなスローガン。王道楽土→道を誤った者には懲罰ではなく、諭して改悛に導く寛容な社会。美しい目標だが、「理想は良かったが、現実は難しかった」というレベルをはるかに超えた、剥き出しの隷属を強要する実態を明らかにしていく。ふんだんに用いられる写真が理解を助けてくれる。2024/10/05

ののまる

10
まさに加害と被害と。2025/03/21

くらーく

7
読んだというよりは、写真を眺めただけですが。今から100年近く前に、ユーラシア大陸の東端にヨーロッパのような都市が出来ていた事実。残念ながら、そこに至る過程や住んでいる人々への差別等は、問題で肯定は出来ないけど、歴史としては興味深い。 もしも、満州国がそのまま残っていたら、と妄想させられる。今のEUのような状況が東アジアにも残っていたのだろうか?満州と中華人民共和国はウクライナとロシアのような緊張した関係になっているのだろうか。朝鮮半島は。。。妄想するだけですけど。2024/11/01

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