ちくま新書<br> アフリカ哲学全史

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ちくま新書
アフリカ哲学全史

  • 著者名:河野哲也【著者】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2024/07発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076366

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内容説明

アフリカ哲学は、北アフリカのイスラム文化に基づく哲学、サハラ以南地域の哲学、アフリカ大陸の外で発展したアフリカーナ哲学に分けられ、アフリカーナ哲学はカリブ海の島々で発展した哲学も含む。本書は日本初のアフリカ哲学の入門書として、サハラ以南のアフリカ、カリブ海諸国で展開された哲学、アフリカ大陸における哲学に影響を及ぼしたアメリカやヨーロッパでのアフリカ人の哲学を解説。これまでの哲学を相対化し、複数の世界に共通する人間の思考のあり方を解明する試み。

目次

序章 アフリカ哲学への誘い/本書の意図/グローバル化とアフリカ/アフリカ哲学と哲学の変革/脱植民地化した哲学へ/知の三点測量と世界哲学/「アフリカ」の哲学の範囲/本書の構成/I 歴史篇──アフリカ哲学全史/第1章 アフリカ哲学史1 古代からキリスト教哲学へ/哲学とは何か? /「アフリカに哲学は存在するか」/ギリシャ文明の起源としてのアフリカ/古代エジプトの存在論、宇宙論/古代エジプトの認識論、人間論/グレコ・ローマン期のアフリカ哲学/クレメンスとオリゲネス/テルトゥリアヌス/プロティノス/アウグスティヌス/ヒュパティア/アフリカにおけるアラビア哲学と科学/第2章 アフリカ哲学史2 前植民地期から反植民地闘争へ/ゼラ・ヤコブ──人生/神義論/人間観/倫理学/ワルダ・ヘイワット/エチオピアの哲学──普遍性と口伝の伝統/アントン・ヴィルヘルム・アモ/重要な宗教的な哲学者たち/第3章 アフリカ哲学史3 西洋の植民地主義と人種主義の哲学/最大の哲学的テーマとしての植民地主義/西洋によるアフリカの植民地化と奴隷貿易/アフリカ分割/啓蒙主義と人種/人種の科学/ロックとヒュームにおける人種主義/カントの人種主義/まとめ──近代哲学の人種主義/第4章 アフリカ哲学史4 反植民地主義闘争と汎アフリカ主義の哲学/帝国主義時代の西アフリカ/エドワード・ブライデンとエチオピア主義/アレクサンダー・クランメル/アフリカーヌス・ホートン/ジョン・メンサ・サルバ/ジョセフ・ケイスリー・ヘイフォード/第5章 アフリカ哲学史5 汎アフリカ会議からハーレム・ルネサンスへ──哲学としての音楽/汎アフリカ会議/音楽によって表明される政治哲学/デュボイス──汎アフリカ主義と二重意識/ハーレム・ルネサンスの哲学的意義/黒人音楽の特徴(リズムと即興性)とその政治性/第6章 アフリカ哲学史6 ネグリチュード運動/ネグリチュード運動/エメ・セゼール/サンゴール/ネグリチュードにおけるダマスとナルダル姉妹の役割/第7章 アフリカ哲学史7 ファノンとカブラル/ファノンの人生/植民地化されたメンタリティと精神医学/暴力論/民族解放戦線との連携/ポルトガル植民地の独立と本国への逆影響/カブラルの生涯/カブラルの批判哲学/II テーマ篇──現代哲学への視角/第8章 現代の哲学1 エスノフィロソフィーとその批判/はじめに──アフリカへの問い/植民地主義的問い/バントゥ哲学/タンペルの主張/エスノフィロソフィーの発展/ウントンジのエスノフィロソフィー批判/エスノフィロソフィーの擁護/セナイ・セラクバハンの解釈学的考察/アフリカ的な哲学とは何か/アフリカに哲学はある/第9章 現代の哲学2 アパルトヘイトの超克──ガンディーとファノンからビコとマンデラへ/哲学的問題としての南アフリカ/マンデラにおける和解と武力/ファノン的実践者としてのスティーヴン・ビコ/黒人意識から和解へ/第10章 現代の哲学3 赦しとウブントゥ/はじめに──アフリカ人の倫理的超克/南アフリカにおける真実和解委員会/ウブントゥの概念/和解とウブントゥ──オルカとツツ/和解は赦しの代わりとなるか/アフリカ人の義務/第11章 現代の哲学4 現代哲学における重要な哲学者/クワメ・ンクルマとアフリカ合衆国の夢/ンクルマ主義としての良心主義/アレクシス・カガメ/ヘンリー・オデラ・オルカと賢慮の哲学/クワシ・ウィレドゥ/マルシアン・トワ/第12章 現代の哲学5 世界に問いかけるアフリカ哲学/ヨルバ的認識論──口語の批判的リテラシー/アカン語の真理概念/アカン民族における心身関係/ヨルバ民族における人格の概念/おわりに/人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

132
アフリカと哲学てミスマッチな、と題名見て思ってしまいました。 日本初の入門書だそうです。 黒人思想史になってしまっている感はありますが、これから期待。 ヨルバ語、アカン語から切り込むと、認識論にあたらしい地平が開けるかも 2024/10/07

owlsoul

12
「人は、他の人たちを通して人になる」「あなた一人では野生動物と変わらない」というアフリカ諸国に共通する発想は、個人主義的な西洋の人間観とは大きく異なる。他者との関係によって自己が成立するという価値観は、共同性の維持を第一に考え、争いは報復ではなく修復によって解決されるべきとする。報復としての死刑を容認する価値観は、特定の人々を人間の枠から排除する傾向を持っており、それは根源的には人種主義と同一のものである。人種主義は、植民地政策を正当化するために生まれた思想である。ゆえに、それを改変することは哲学の課題だ2024/10/27

文狸

3
アフリカの「ローカルな」哲学を学んでおくのも今後の何かの役に立つか、という気軽な気持ちで読み始めたが、そういう態度自体が植民地主義的ないしは新植民地主義的な思想であるという誹りを免れない、ということを読み始めて数十ページではっきりと自覚した。アフリカ哲学の通史を描くということが、アフリカにおける政治闘争や、文字にされてこなかった口述伝承あるいは音楽を理解することと不可分である(どころか、まさにそのものである)ということが説得的に論じている。「ポストコロニアニズム」と「我々」が簡単にいうときに、→2025/05/31

BlurMatsuo

3
「アフリカに哲学はあるのか」「アフリカ的哲学とはなにか」今では東洋哲学やアメリカ哲学が存在感を示しているとは言え、古代ギリシャ哲学から哲学は西洋哲学のことを指すと何の疑問もなく考えるそのバイアスを振り払ってくれる。エジプト哲学から発祥し、アフリカの民族社会における人間、社会の思想、ネグリチュードから影響を受けて広がった汎アフリカ主義、戦後の独立を経て反証される現代哲学。ひとまず大きな流れを理解できる。現在も続く人種主義を無意識に孕む西洋哲学、明治維新後、西洋化で植民地主義に陥った日本の哲学について考えた。2024/08/13

KATSUOBUSHIMUSHI

2
ドリス・レッシングの「シカスタ」を読んでいて、思想的な位置づけが知りたくなったので並行して読んでみた。読み終わったら小説の世界観から西欧批判までアフリカ的な思想が反映されていることがよくわかってスッキリした。アフリカ哲学による西洋哲学の脱構築の部分では中田考が「イスラームの論理」でイスラームの思想を現代哲学と接続しようとしているところを思い出した。植民地主義批判や、ヨルバ人の真理概念は、SNSの陰謀論やイデオロギーから距離を置くためにも役に立つと思った。西洋哲学それ自体に批判的な視点が刺激的な一冊でした。2025/02/04

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