ロシア文学の怪物たち

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ロシア文学の怪物たち

  • 著者名:松下隆志【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 書肆侃侃房(2024/07発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784863856295

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内容説明

『青い脂』(ソローキン)や『穴持たずども』(マムレーエフ)など“怪作”を翻訳してきた著者による「悪」のロシア文学入門。

虚無的な現実を覆う皮膜の下で蠢く怪物たちの饗宴。間違いない、本書は毒にも劇薬にもなりうる。━━━━━木澤佐登志

ロシア文学は現実の不確かさを読者に突きつけ、世界の裂け目に開いた深淵を露わにする。

『青い脂』(ソローキン)や『穴持たずども』(マムレーエフ)など“怪作”を翻訳してきた著者による「悪」のロシア文学入門。


誤解を恐れずに書くが、ロシア文学は危険だ。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって現実に世界秩序が大きく揺れ動いている今日、それは劇薬ですらあるかもしれない。(「はじめに」より)

【著者】
松下隆志
1984年、大阪府生まれ。専門は現代ロシア文学・文化。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、岩手大学准教授。著書に『ナショナルな欲望のゆくえ ソ連後のロシア文学を読み解く』(日本ロシア文学会賞受賞)、訳書にソローキン『吹雪』『親衛隊士の日』、『青い脂』(共訳)、ザミャーチン『われら』、マムレーエフ『穴持たずども』など。

目次

はじめに

プロローグ 悪との遭遇

第1章 ペテルブルグの幽霊 ゴーゴリ『外套』

第2章 怠惰と実存 ゴンチャロフ『オブローモフ』

第3章 病める地下室男の独白 ドストエフスキー『地下室の手記』

第4章 もはや死はない トルストイ『イワン・イリイチの死』

第5章 世界がひずむ音 チェーホフ『六号室』

第6章 「われら」と「彼ら」のはざまで ザミャーチン『われら』

第7章 不可能性の怪物 マムレーエフ『穴持たずども』

第8章 空虚への解脱 ソローキン『マリーナの三十番目の恋』

第9章 もう一つの九〇年代 ペレーヴィン『ジェネレーション〈P〉』

第10章 回帰する亡霊 エリザーロフ『図書館大戦争』

第11章 可能性としての女性文学 ナールビコワ『ざわめきのささやき』/トルスタヤ『クィシ』/スタロビネツ『むずかしい年ごろ』

おわりに

あとがき

ブックガイド

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

57
最近ロシア文学を読む機会があるため本書を読んでみた。読めて良かった作品であった。著者の松下さんはロシア文学の研究者兼翻訳家のかたである。そんな松下さんがロシア文学と出会ったきっかけから始まり、ゴーゴリーやドストエフスキーといった作家の作品について考察する話である。ロシア文学を悪への深い考察文学と話している。私なりに感じたのは、この悪は、誰しにもある見て見ぬふりをしたい感情だと思った。人によって態度を変える。自分の苛立ちをぶつけたいという感情などなど。ロシア文学は劇薬やもしれない。2024/08/16

マリリン

40
文体が硬派な感じは意外だったが、著者の経歴と共に語るロシア文学は熱感がある。既読作品は再読したくなり、未読作品は読みたくなる危険な本。第7章の不可能性の怪物は直近で読んだアムレーエフ「穴持たずとも」。読了後の霧が晴れた感あり。第11章の、可能性としての女性文学は著者の思わぬ一面を知った。トルスタヤ「クィシ」・スタロビネツ「むずかしい年ごろ」は気になる。ザミャーチン「われら」と、ゴンチャロフ「オブロ―モフ」は読みたい。松下訳で読むソローキンの作品は相思相愛なのかと思うくらい文体が美しく妖艶な感じがする。 2025/02/23

塩崎ツトム

24
著者はソローキンの翻訳でブイブイいわせてる(笑)ロシア文学研究者。ロシア的なものとはなにか、ロシア人とは何者か、なぜロシアは父性を前面に出した独裁者を担ぎがちなのか。なぜロシア文学は胸を打つのか、理由を知りたかったけど、ますますわからなくなってしまった。2024/11/19

さとまる

6
ソローキンを初めとするちょっとイカれたロシア文学を翻訳している著者による「危険な」ロシア文学エッセイ。ロシア文学史の解説などではなく、極めてプライベートな読書体験を綴っている。対象はゴーゴリに始まり、ドストエフスキー・トルストイ両巨匠はもちろんのことチェーホフ、ザミャーチン、ソローキンなどなど。既読だったのはドストエフスキー『地下室の手記』とザミャーチン『われら』。未読の作品もどれもこれも読んでみたくなる。こうやってロシア文学の沼に落ちてしまうのか。2024/07/17

NAGISAN

5
ロシア文学は有名どころの作者しか読んだことがない。各作家・作品の紹介のはじめに、著者の個人的経験をユーモラスに記述されておられるので、ロシア文学と特有の(と個人的に思う)重苦しさや類似性などが取れて、すっと入る。極最近の著作が紹介されることが少ないのが残念であるが、一番印象に残った(著者の専門である)ソローキンや女性作家の作品を読んでみたい。2025/02/25

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