内容説明
今、なにが怖い? 人気作家、TVプロデューサー、映画監督、配信者など、日本のホラー文化最前線のクリエイターたちとともに考える論考集。
目次
1章 今、テレビだからこそ出せる「怖さ」 ――大森時生
2章 『近畿地方のある場所について』が明らかにしたヒットの要件 ――背筋
3章 文字の怪談、声の怪談 ――黒史郎
4章 インターネットで語られる怪談 ――かぁなっき 煙鳥
5章 回帰と拡散のホラーゲーム 2015-2024 ――向江駿佑
6章 汲めども尽きぬ「民俗ホラー」という土壌 ――澤村伊智 飯倉義之
7章 ほんとにあった! 心霊ドキュメンタリーの世界 ――寺内康太郎 心霊ビデオ研究会
8章 透明な私 ファウンド・フッテージの作り方 ――梨
9章 ブームからリバイバルへ ホラー漫画の40年 ――緑の五寸釘
【電子版特典】
テレビ東京60周年記念式典で開催されたイベント『祓除』についての座談会「『祓除』とはなんだったのか」(大森時生氏、寺内康太郎氏、梨氏、背筋氏)を収録。
※電子版のみの特典となります
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mittsko
14
吉田悠軌無双のインタビュー集。対談相手は、テレビ、小説、怪談、ゲーム、研究者、モキュメンタリ、漫画などのトップクリエイタたち。そりゃ当然、文句なしに面白い…!(*´ω`*) 怪談一般を文化として、市場として確立していこうとする吉田さん、その才覚と達成が、数ある著作のなかでも一番鮮やかに現れた一冊なんじゃないかな なお、本書には際立った特徴がいくつかある。※ 序言やあとがきが一切ない。いきなり始まりいきなり終わる。※ 「ホラー」という語がアンブレラになっている。説明はない。ないままに話がどんどん進む2024/12/01
佐倉
14
空前のホラーブームの中、吉田悠軌がホラーの現在を担うプレイヤーたちと対談したり文章を集めていく一冊。近年魅力的なフェイクドキュメンタリーを企画している大森時生の対談ではいまだ残るテレビの権力性を前提にして「これが地上波に乗ったの?」という驚きを目指しているという話が興味深かった。黒史郎とは語りと文章の怪談の違いについて、かぁなっきと煙鳥は怪談の拡散について、澤村伊智と飯倉義之は小説方面の展開…土俗ホラーと民俗ホラーのニュアンスの違い、昭和20年代が民俗ホラーの舞台となりがちな理由などそれぞれ興味深い。2024/08/23
無重力蜜柑
13
広い意味でのJホラーがここ数年で全盛期に迫る勢いを得つつあるというのは事実だろう。自分はホラー・プロパーではないが、最近のホラーの元気の良さは外にいても伝わってくる。中心にあるのはネット発のモキュメンタリー群だ。『近畿地方~』等のWeb小説や『フェイクドキュメンタリーQ』等のYouTube企画、もっと込み入ったテレビ企画まで。ネットを表現形式として最も巧妙に取り込んだジャンルがホラーだ(なぜSFじゃなかったのか)。本書を読めば、そんなJホラーの最先端の状況が二十世紀からの文脈も踏まえて俯瞰できる。2024/09/29
sasaki_1/700k
11
本邦のホラージャンルの各領域で今日活躍するキーパーソンたちと、吉田悠軌氏の対談集(緑の五寸釘氏のみ寄稿)。クリエイターらのルーツと思考の一端が紐解かれ、何故彼らが今求められているかのヒントが伺える。梨氏の、この先フェイクドキュメンタリー疲れで揺り戻しがあるだろうという予測はまさにと思った。本書にはホラー映画を主題とした章がない。かつてジャンルの旗手ですらあった映画界に、このような企画で焦点が当たらない事自体が「現在」の反映なのだろうか。地味だが大事なところとして、巻末の参照作品リストが非常にありがたい。2024/07/18
おおかみ
10
つくづく思う、ホラーは優れて批評的であると。映像にしても漫画にしても、どの媒体であっても原初からホラー作品は存在した。栄枯盛衰を経て、各作家は新たな表現やメディアの限界/可能性に挑み、恐怖という根源的な感情をいかにして獲得し直せるのか探究している。全員が編著者の批評精神を共有しているわけではないが、本書において各界のパイオニアが発する言葉は、ホラーの枠組みを超えた普遍的な社会分析に他ならない。僕はこうした知的興奮こそがホラーの神髄であるとも感じる。2024/08/30
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