おさなごころを科学する - 進化する乳幼児観

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おさなごころを科学する - 進化する乳幼児観

  • 著者名:森口佑介【著】
  • 価格 ¥2,112(本体¥1,920)
  • 新曜社(2024/07発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784788513747

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内容説明

心理学は乳幼児理解をどのように進化させてきたか?

乳幼児とは、どのような存在でしょうか。子どもの豊穣な世界や大人との違いについて、教育者だけでなく文学者から哲学者まで、さまざまに述べてきました。しかし、それらは、子どもの心の世界を客観的に検証したものというより、自分の経験や信条の上に立つ見方であったと言えるでしょう。本書は、人間の心を科学的に検討する発達心理学の視点から、乳幼児の心(おさなごころ)が大人の心とどう異なるのかを、研究の歴史的展開を追いながら、見てゆきます。乳幼児研究の基本をわかりやすく解説しながら、最先端の知見も紹介する、乳幼児心理学を学ぶ入門書としても最適です。しかし入門に止まりません。本書は、乳幼児への見方を一変する読書体験となるかもしれません。

【著者】
森口 佑介
京都大学文学研究科 行動文化学専攻行動文化学講座准教授

目次

はじめに
発達心理学からみた乳幼児観/乳幼児研究の過去と現在、未来をつなぐ

第1部 無能な乳幼児
第1章 無能な乳幼児
遺伝と環境/デカルトの生得観念/白紙としての乳幼児/植物としての乳幼児/進化論と発達心理学/ダーウィンの乳幼児観/遺伝も環境も大事/わが国における乳幼児観/本章のまとめ

第2章 活動的な乳幼児
科学的に観察する/ピアジェ以前の発達心理学/偉大な心理学者ボールドウィン /ピアジェの乳幼児観/ピアジェ理論の肝/段階発達/身体で考える/対象の永続性/A.ノット.Bエラーをめぐる議論/幼児期の自己中心性/中心化/アニミズム、実念論、人工論/批判されるピアジェ/本章のまとめ

第3章 かわいい乳幼児
アタッチメント/乳幼児は積極的に親を求める/アタッチメントの個人差/ベビースキーマ/かわいい乳幼児と不思議な大人の行動/乳幼児は「なぜ」かわいいのか/本章のまとめ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

28
乳幼児は知識も観念もない、と考えてしまいがちだが、新たな実験法の開発により、生まれつき物理学・心理学・生物学的知識を持っていることが確かめられているという。これだけでも驚愕なのに、さらに乳幼児だけにあって大人になると失う能力--サルの顔の識別、共感覚(数字に色を感じる等)、空想の友達--に至っては殆どSFの世界だ。発達心理学や認知科学、脳科学の基礎的解説をしながら、「ネイチャー誌」論文など最新科学の知見(約200の参考文献は殆ど英文)を、<進化する乳幼児観>をテーマに手さばき鮮やかに紹介する。名著だ■932014/04/15

のんぴ

25
乳幼児はいかにして、世界を認知していくのか。生まれてすぐにもう、物理的、心理的、生理的な素朴理論を構築する力を持っている。その時々に最適な認知の仕方で、徐々に不要な情報処理能力はそがれていく。乳幼児はなにもわからないと、あなどってはいけない。普通の育て方をしていても、誰でも2,3歳ともなれば、具体、抽象を言語化できるのは、考えてみるとすごい。この本は、主に観察や実験により報告された乳幼児観の研究の変遷で、放送大学の教科書のようで、あまり面白くはないが、勉強にはなった。2020/02/26

koke

10
乳幼児研究の入門書。見たままの「無能な乳幼児」(ロック~ピアジェ)から、実験によって明らかになった「有能な乳幼児」(ヴィゴツキー)へ、さらに大人と「異なる乳幼児」(著者)へ。乳児は泣く・見つめる・微笑む能力をもち、それを何かのサインとして受け止めた大人とアタッチメントを形成していく。応答可能性を持つ他者なら誰でも構わないというのはいい話だ。このように意外と有能な乳幼児だが、絶対音感や大人以上に多くのニューロンをもつなど、大人とは異なる世界を経験してもいる。短い異世界生活を楽しんでほしいと思う。2023/08/13

小鈴

9
これまでパラパラ読んできた赤ちゃん学やアタッチメント論、社会脳などが発達心理学でどのような文脈で位置づけられているのかが分かって良かった。発達心理学における乳児観の変遷を知ることができ、その分野に関心があればオススメであり様々な研究結果も知ることができるが、書き方は保守的なのでエンターテイメント性には欠ける(いや研究者としてはそれでいいんだけど)。おもしろい研究結果も多いので思い切って書いてもいいのにと思ったり。やはり著者が研究している空想の友達について触れた七章が一番興味深い。2014/07/02

三色かじ香

3
乳幼児を研究する、科学する手法に、様々な気遣いがあるのが、なるほど、と思いました。それでも、結果は解釈せざるをえず、観察者にある程度依存してしまうのが難しい。サリー・アン課題において、言語的か非言語的かによって、日本の子どもに限り成績に差が出るのが、とくに気になりました。発達心理学の筆者の「乳幼児観」が面白かったから、教育学や社会学の立場の方が書いた「乳幼児観」の本も探してみたい、と思いました。2017/02/28

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