それでもなぜ、トランプは支持されるのか―アメリカ地殻変動の思想史

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それでもなぜ、トランプは支持されるのか―アメリカ地殻変動の思想史

  • 著者名:会田弘継【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 東洋経済新報社(2024/07発売)
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  • ISBN:9784492444825

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内容説明

南北戦争以来の「内戦」は起こるのか。
ウクライナは見放されるのか。
日米安保は破棄されるのか。

第一次トランプ政権の終焉、バイデン当選、「Qアノン」による連邦議事堂襲撃から約4年。
次期大統領選に向けた皮切りとなるアイオワ州共和党予備選(24年1月)で大差の勝利を得たトランプ。
日本から見ていると信じられないかもしれないが、アメリカ共和党内では依然として圧倒的支持を得ており、共和党大統領候補として選ばれることが確実視されている。
一方で前回大統領選後の議事堂襲撃を扇動した罪などで司法からは多数の刑事訴追をされており、このまま何事もなく選ばれていくのかを疑問視する声もある。
それでもなぜ、彼はこれだけ支持を集めているのだろうか。
トランプ現象の本質を最も早く見抜いたアメリカ・ウォッチャーの第一人者が、アメリカ政治に起きている地殻変動と、建国以来の保守思想がその源流にあることを明らかにしていく。

ゴジラはなぜ、何度も何度も、日本に戻ってくるのか。同じように問いかけてみるべきだろう。ドナルド・トランプはなぜ、またアメリカ大統領選に戻ってくるのか。なぜトランプのような破壊的存在が出現したのか、その「生命力」の不思議をわれわれは「研究」すべきだ。「トランプが民主主義を破壊している」というような単純な話ではなく、トランプを生み出したアメリカの病とその原因を探らなければ始まらない。トランプという怪物は繰り返し戻ってくる。それはどんな無念を抱く、数多くの戦死者の「亡霊」(再来)なのか。異様な格差を生む不平等の構造が変わらない限り、支配される側の怒りと怨嗟の「ゴジラ」であるトランプは、いくどでもアメリカの政治に登場することになるのだ。――序論より

トランプは病因ではない、病状なのだ。原因ではない、結果なのだ、というのはアメリカを観察する者にとっては、今ではほぼ常識となっているはずだ。少なくともアメリカの学識者の間では共通認識であろう。ところが、どうも日本ではそのことがよく理解されていない。――序論より

目次

序 論 それでもなぜ、トランプは支持されるのか
第Ⅰ部 トランプ政権誕生の思想史
忘れ去られた異端者らの復権――トランプ政権誕生の思想史/ジェームズ・バーナム思想とトランプ現象/よみがえる「美しき敗者たち」
第Ⅱ部 現代アメリカの思想潮流
保守思想とアメリカ政治の現在――ポピュリズムとの相克/トランプ政権の外交思想を考える/トランプ政権を取り囲む思想潮流
第Ⅲ部 地殻変動の後景
福音派はなぜ政治を動かせるのか――アメリカの「政教分離」が意味するもの/アメリカ白人社会の格差と病――『絶望死のアメリカ』など/ハイデガー「技術論」でアメリカ公共宗教を読み直す――『「ポスト・アメリカニズム」の世紀』/トランプ現象は終わらない――建国にさかのぼる孤立主義
第Ⅳ部 文化戦争と「キャンセル・カルチャー」
アメリカに吹きすさぶポリコレの嵐/『ニューヨーク・タイムズ』が突き進む歴史歪曲/国民を分断する歴史教育と左翼意識の「目覚め」
第Ⅴ部 思想の地政学
バイデン政権が抱えた課題/ウクライナ侵攻の「思想地政学」
第Ⅵ部 思想家ラッセル・カーク再考
『保守主義の精神』出版七〇年とアメリカの分断/保守思想家ラッセル・カークと「死者たち」/近代に見失われた共時性が貫く共同体/E・マクレランと江藤淳の『こころ』

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

150
なぜアメリカ国民はトランプを熱狂的に支持するのか。それは政治が一部の金持ちやエリート知識人ばかり優遇し、自分たちは放置されているとの貧困層の怒りが爆発したのも確かだが、同時にアメリカの底流を流れる思想史的側面も指摘する。アメリカンドリームを掲げて明日を信じてきたアメリカ人は、その理想が実現できなくなった現実を見せつけられた。機能不全の政治を自分たちの手に取り戻すには強力なハンマーが必要であり、トランプに理想を復活させる破壊者の役を託したのだ。現代のアメリカは、第一次革命当時のロシアと同じ状況かもしれない。2024/10/02

ゼロ

86
トランプが支持されたのではなく、民主党が高学歴で金持ちのエリートを優遇し、中間層である高卒労働者をないがしろにしたからこそ生まれたトランプ現象。トランプは原因ではない、結果なのだ、というのは言葉も出ない真実。上位10%が全世帯資産の総計66.6%を占め、下位50%の世帯資産は全体の2.6%。格差社会により、国民が満足するとごろが、「絶望死」を選択する人間が出てきた。オバマ政権により民主党に失望した人間らは、今の政治を破壊する人を求めた。つまり構造的な話であり、第二のトランプはいずれ登場するのだろう。2025/05/31

よしたけ

44
トランプを支えるのは経済的疎外された低学歴白人。2016年選挙でヒラリー支持郡のGDPは全米64%、トランプ支持は36%というデータは刺激的。米政治歴史にも紙面を割く等、米理解に有用。メモ:80年代までは低学歴白人層は民主党支持だったが、レーガン等による共和党南部攻略もあり支持層が反転/トランプが模範とするのは第三政党「改革党」大統領候補ブキャナンで、トランプは同政党候補選びで敗れた過去/米国保守思想は欧州でいう自由主義を指し、所謂リバタリアンがそれにあたる/近代社会では世俗化が進むが米国は逆で宗教色強い2025/04/30

よっち

40
第一次トランプ政権の終焉から約4年。再び共和党大統領候補として選ばれることが確実視されるトランプはなぜこれだけ支持を集めているのか、その背景を探る1冊。司法から多数の刑事訴追をされ疑問視する声もある中でトランプ支持を集める要因になっているアメリカの様々な背景。ジェームズ・バーナムの思想とトランプ現象、アメリカ型ポピュリズムの特徴、疎外された下層中産階級の存在、福音派の存在や白人社会の格差、強烈なキャンセルカルチャーなどが渦巻く絶望の国の状況を読むと、トランプが支持されている背景が分かるような気がしました。2024/08/16

こも 旧柏バカ一代

38
トランプ大統領が再選された昨今。その支持層とは何なのか?その辺りが知りたくて本書を手に取る。自身の20年前のアメリカのイメージとの乖離に愕然とした。居た場所がカルフォルニア州で多分、格差の上の方の地区に居たイメージが強かったのでトランプを支持する南部側、中央側の地区のイメージを持っていなかった。さらにそこに宗教的な話が加わるからややこしい。そんな彼等が議事堂を襲撃し、色々と裁判で係争中の彼を支持し続けて大統領に返り咲かせた。思想的な改革が起こっているらしい。それが何なのか少し理解出来たかもしれない。2024/11/10

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