内容説明
みずから腹を割き、遺書で相手に切腹を迫る「さし腹」。仇敵の死刑執行人を願い出る「太刀取」。女たちの討入り「うわなり打」。男色の愛と絆の証「衆道敵討」……。著者は豊富な史料に基づいて、忘れられた多彩な復習の習俗を照らし出す。近世の人々はどのように怨みを晴らし、幕府は復讐の情をいかに管理し手なずけようとしたか。うつろう武士道、演劇化する「かたき討ち」。日本の復讐の歴史がよみがえる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けいた@読書中はお静かに
25
井坂幸太郎『死神の浮力』の参考文献の中で見つけた本。かたき討ちというと忠臣蔵のイメージしかなかったけど、この本に登場するのは、江戸時代初期ごろにもっと庶民的な?習慣として行われていたかたき討ち。指し腹という制度は今となってはなんとも奇妙な習慣としか思えない。参考程度でぱらぱら読もうかなと考えてたけど、意外と面白かった!2014/10/03
唐橋史(史文庫~ふひとふみくら~)
5
時代劇とはまるで違う暗く凄惨な近世初期の武士道の実態。目からうろこのエピソードが多く、文章も読み易くて極めておもしろい一冊。いつの世も変わらないのは人間の救いようのない感情。しかし復讐の作法は変遷する、それが身にしみて理解できた。2013/02/23
オールド・ボリシェビク
4
武士道の一種、象徴的な行為としてみられがちな「敵討ち」だが、その実際は、陰惨で、労多くして報われぬシステムだったようだ。みずから腹を割き、遺書で相手に切腹を迫る「さし腹」や仇敵の死刑執行人を願い出る「太刀取」などかくも不合理な制度はいかにして成立していったのか。さすが氏家幹人、丹念に史料を読み込み日本史の暗部に光を当てる。離婚した夫がすぐ新しい嫁と結婚したら、先妻が仲間と押し寄せて家をぶっ壊すかたち討ちもあったとか。それはそれで面白い。2025/09/26
はちめ
4
再読。この本は本当に面白い。江戸時代の様々な敵討ちを紹介してあるのだが、その多様性と意外さが面白いし、そのメンタリティの分析も興味深い。敢えて文化人類学の本棚に入れておきます。2015/01/01
OjohmbonX
3
江戸期の敵討ちの実例をたくさん紹介して、当事者の内在的なロジックと構築されていく制度の相互作用を見せてくれて面白い。同じ土地に住んでた同じ人間でも、ベースの価値観がこれだけ違うよっていうのが知られるのは楽しい。当初の経緯や事情、理非はあまり関係なく、条件が形式的に整うと「敵討ち」状態に入るし、一度入ると返り討ちでもずるい方法でもとにかく「倒したこと」の達成のみ重要視される価値観ってのが予想外だった。達成者を保護したり、報復の拡大や連鎖を防止する制度があって、その制度を悪用する人もいてってシステムが面白い。2016/02/19




