自由と自己の哲学 - 運と非合理性の観点から

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自由と自己の哲学 - 運と非合理性の観点から

  • 著者名:李太喜
  • 価格 ¥5,940(本体¥5,400)
  • 岩波書店(2024/06発売)
  • ポイント 54pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000616348

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内容説明

長く,哲学者・神学者を悩ませてきた決定論から自由を擁護し,さらに進んで非決定論に向き合い,運と非合理性にさらされる人間の実存を考察する.とるべきではない選択肢を前に,ときにそう振る舞ってしまう人間の自由がもつ価値とは何か.その自由は私たちの生にとってどんな重要性をもっているのか.國分功一郎氏,野矢茂樹氏推薦.

目次

はじめに
第1章 選択可能性と自由の関係がなぜ問題になるのか
第1節 決定論と対立する選択可能性
1 選択可能性と自己決定性
2 決定論と自由の対立
3 選択-非両立論という立場
4 選択-非両立論の抱える二つの問題
第2節 源泉-両立論と行為の合理的コントロール
1 ホッブズの系譜としての源泉-両立論
2 源泉-両立論者の諸理論
3 合理的コントロールとしての自由理解
4 選択-非両立論者にとっての合理的コントロール
第3節 整合性の問題
1 選択可能性と合理的コントロールの緊張関係
2 非合理性のアポリア
3 運のアポリア
第4節 必要性の問題
1 フランクファートによる選択可能性原理の否定
2 価値のアポリア
第2章 選択可能性と自由は整合的に理解できるのか
第1節 従来の解決案を批判する
1 加算モデル的解決の試み
2 ミーリーの熟慮的リバタリアニズム
3 ケインの葛藤理論
4 加算モデル的解決の限界
第2節 自由な行為が満たすべき合理的コントロール要件を検討する
1 理解可能であるという基準から与えられる合理性
2 非決定論下で持ち得るコントロール
3 自由概念の記述的側面から見た合理的コントロール要件の妥当性
第3節 自由論のドグマからの解放
1 コントロールを向上させる選択可能性
2 自由論のドグマとは何か
3 自由論のドグマと対極にある自由観
4 合理的コントロールを弱める選択可能性
5 自由と運
6 選択可能性を契機とする自己決定性のあり方
第4節 自己決定する「自己」とは何か
1 自由と自己の問題
2 断絶を埋める二つの試み
3 自己と選択の構成関係
4 自己の理由モデルからの決別と、自己の動的なあり方
5 整合性の問題の「解消」
第3章 選択可能性はなぜ必要とされるのか
第1節 人を非合理性と運にさらす選択可能性が持つ価値
1 必要性の問題と価値のアポリア
2 価値のアポリアの手前で
3 解決に向けた二つの方策
第2節 自己変容性と選択可能性
1 葛藤の中の選択と自己変容的選択
2 自己変容的選択と非合理性
3 実験であり賭けである自由な選択
4 複数の価値観へと開かれるという自由の価値
第3節 道徳的責任と選択可能性
1 道徳的運としての選択の運
2 行為の源泉性に必要とされる選択可能性
第4節 本書の到達点

おわりに
キーワード
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buuupuuu

20
著者が擁護するのは「選択可能性が存在することを必要とする、自己決定性」という自由概念である。自由のあるなしではなく、そもそもこのような概念がまともな概念なのかが論じられている。たとえばこのような自由は決定論的な世界ばかりでなく、非決定論的世界においても成り立たないのではないか?西洋哲学の伝統では、自由は、理性に従って自律的に振る舞うことだと捉えられてきた。それに対して著者は、非合理性や運に身をさらすこととして自由を捉えようとする。このような自由は自らの価値観を作り変えていくようなものでもあると論じている。2024/08/11

brzbb

0
決定論と両立する自由論は「意志」については論じられてるけど「自由」については論じられてないように感じていた。しかし本書は決定論とは対立する立場から「自由意志がある」という時の「自由」とはどういうものでなければならないかやその価値について、様々な角度から掘り下げてくれる。著者自身も認めているように決定論を論駁するものではないしさらに議論が必要な部分があったり他の自由論や決定論とさえ重なる(矛盾しない)ところが、いろいろ考えさせれて自然法則的決定論を受け入れている立場からもおもしろかった。2024/09/01

Dwight

0
読んでるといろいろ思考実験したくなるね!2024/07/14

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