はじめての統計的因果推論

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はじめての統計的因果推論

  • 著者名:林岳彦
  • 価格 ¥3,190(本体¥2,900)
  • 岩波書店(2024/06発売)
  • ポイント 29pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000058421

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内容説明

因果推論の基本的な考え方を図とことばで平易に説明し,シンプルな事例によりポイントを直感的なイメージで示す.推定結果の解釈・利用における注意点や質的研究との関連も丁寧に解説.数式はあまり得意でないが統計的因果推論の原理を理解したい初学者,分析対象のありようを深く研究したいと望む人に最適.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

はじめに
〔BOX0.1〕そもそもなぜ「ちがい」と「しくみ」の両面から見ていくのか
第I部 因果推論の基本的な考え方
1 因果と相関と「特性の分布の(アン)バランス」
1.1 まず、「対象のありよう」を丁寧に考えよう
1.2 相関と因果と、特性の分布のバランス
1.3 基本的なゴールとしての「特性の分布のバランシング」
〔BOX1.1〕「共変量のバランシング/処置Tと特性Cが独立」のイメージをつかむ
1.4 そもそも何が揃うと「因果関係」といえるのか?
〔BOX1.2〕因果概念をめぐる哲学的議論について
1.5 手始めの一歩──層別化による因果効果の推定
1.6 この章のまとめ
〔BOX1.3〕統計的因果推論における「目的」「識別」「推定」の論点
2 どの特性を揃えるべきなのか──因果ダイアグラムとバックドア基準
2.1 相関と因果の違い
2.2 いざ、バックドア基準へ
〔BOX2.1〕バックドア基準は「何について」の話?
〔BOX2.2〕「分岐点のケース」を回帰分析の枠組みでおさらいする
〔BOX2.3〕因果ダイアグラム関係の専門用語の補足
〔BOX2.4〕代理(プロキシ)として働く変数のふるまい──考えていくと沼へとつながる話
2.3 まとめとしてのバックドア基準──とどのつまり、どの変数をバランシングするべきなのか
〔BOX2.5〕バックドア基準の観点から見たシンプソンのパラドックス
2.4 いくつかの例題でのおさらい──習うより慣れよう
〔BOX2.6〕因果構造の全体を知る必要はない──路線図の喩え
2.5 バックドア基準を踏まえて、「目指すべきゴール」をアップデート
2.6 この章のまとめ
〔BOX2.7〕因果ダイアグラムなんて描けません!
〔BOX2.8〕「バックドア基準を満たす変数セット」なんて観測できません!
3 因果推論、その(不)可能性の中心──潜在結果モデルと無作為化
3.1 潜在結果モデルへの入り口──個体レベルでの因果効果から考える
3.2 潜在結果モデル──「もしも」の世界も考える
〔BOX3.1〕可能世界論と反事実
〔BOX3.2〕ATTとATEとATU
〔BOX3.3〕潜在結果と観測値の関係を数式で表現する
3.3 無作為化──コイントスで「不可能」を「可能」に“フリップ”する
〔BOX3.4〕無作為化と管理のイメージ
3.4 因果ダイアグラムから眺める無作為化
3.5 この章のまとめ
〔BOX3.5〕ひとくちに“統計解析”というけれど──推定のそもそもの目的の違いと方法論との対応
第II部 因果効果の推定手法
4 共変量に着目──層別化、マッチング、重回帰分析
4.1 層別化と標準化で揃える
4.2 マッチングで揃える
4.3 重回帰分析で揃える
4.4 この章のまとめ
〔BOX4.1〕じゃあモデルなんて使わなければいいじゃないですか
5 「次元の呪い」の罠の外へ──傾向スコア法
5.1 傾向スコア法──“割付けられやすさ”を表す合成変数
5.2 傾向スコア法を使ってみよう
5.3 傾向スコアによるマッチング
5.4 マッチングは相手あってこそ
5.5 この章のまとめ
6 共変量では調整できない、そんなとき──差の差法、回帰不連続デザイン
6.1 差分データへの変換によるバランシング──差の差法
6.2 処置の切替の境界を利用したバランシング
6.3 この章のまとめ
7 データの背後の構造を利用する──操作変数法、媒介変数法
7.1 外的なショックを利用する──操作変数法
7.2 媒介変数法とフロントドア基準──中間変数を利用する
7.3 この章のまとめ
第III部 「因果効果」が意味することと、しないこと
8 “処置Tの効果”を揺るがすもの
8.1 「因果効果を媒介するもの」を考える
8.2 “因果効果”を揺らす他の要因たち
8.3 処置Tのコンテクスト依存性を考える
〔BOX8.1〕“柑橘類”とは何だったのか──壊血病を巡る実験の成功と概念的吟味の失敗
8.4 測定されたその「処置T」は本当に「処置T」か
8.5 この章のまとめ
〔BOX8.2〕「まずSUTVAあれ」
9 エビデンスは棍棒ではない──「因果効果」の社会利用に向けて
9.1 その因果効果はどこまで一般化できるのか──ターゲット妥当性とバイアスの分解
9.2 実世界での適切な利用へ向けて──「固有性の世界」と「法則性の世界」の往復
9.3 「平均因果効果」が隠してしまうもの
9.4 エビデンスは棍棒ではない──結果の社会利用にあたって注意すべきこと
9.5 この章のまとめ──RCTは最強ではないし、統計学は最強ではない
〔BOX9.1〕本書の終わりに──マシュマロ実験からの教訓
巻末補遺A1 共変量Cの影響に対する“補正計算”としての重回帰
巻末補遺A2 逆確率重み付け法の考え方
参考文献
あとがき
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

山のトンネル

8
本書は統計学の入門書ではないので注意。タイトルの通り、統計の知識をもとに因果推論に関して学ぶための書物。本書を読む限り因果推論は直感的に理解できるようなものではなさそう。相関関係のようにグラフを見れば一発というのではない。読み込まないとよくわからない類の本だが有益ではありそう。あるいは因果推論についてすでに学んでいる人が、因果推論の原理や意味を体系的に理解するのに役立ちそう。2024/09/07

shin_ash

7
林先生の因果推論の本である。予約してた割にはしばらく積読していたが、広大のセミナーで林先生の話を聞いて急に読む気になった。林先生は以前から資料を公開したり、Xで積極的に発信したりしていて勉強したり共感したりしていたが、それらの話が体系的まとまっているのが本書である。ルービン流の計量経済学の因果推論が全盛の中でパールとルービンの両面から因果推論を体系的に説明した上に統計学の外側である問題設定や解釈まで踏み込んだ解説している類書が無い良書である。因果推論は基本的にややこしい話なのであるが、これを思い切ってシン2024/10/01

ぶう

6
因果推論の基本的な概念を非常にわかりやすく解説している本書。直感的な図表と平易な言葉で理解を助けてくれるため、初学者が因果推論の世界に足を踏み入れるのに最適な一冊であると言える。また理論だけでなく実用的な知見にも触れることができる本である。解説にも具体的な事例を示し、因果関係を読み解く方法を学べるよう工夫されているため大変理解しやすい構成となっている。因果関係は単なる相関と違い、グラフから単純に読み取ることはできないが、本書の内容を理解することでビジネスに応用の効く強力な武器を手にする事ができる。2024/05/08

shin

4
流派によって説明の仕方がバラバラかつ、概念の難渋さで多くの人を跳ね除けてきた因果推論に統一的な理解を与えてくれる。パール派とルービン派という括りを取り除いて、因果推論が何を目指しているのか理解できる。洋書にも類書はないと思うので、そのうち訳されるんじゃないか、というくらいいい本。2024/03/17

MrO

3
なにかすごい分析手法があって、サンプルデータを放り込むと、いままで見えてこなかった因果ダイアグラムがあぶりだされる・・・なんてことを期待して読み進めたが、むしろ結論は逆で、そのようにして得られたかに見えるエビデンスが何についての知見なのかを結局は地道に検討しないといけないということがよくわかった。分析手法の万能さではなく、それが隠してしまうことの多さだ。ただ、それを知ることが、きっと統計学を勉強する最大の目的と収穫なんだろう。2024/03/09

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