内容説明
「中国最古の地方誌」待望の完訳
『華陽国志』は『越絶書』とともに「中国最古の地方誌」と呼ばれる。
その記述内容は、現在の四川省を中心とする中国古代西南地方の神話・地理・歴史・経済・社会の実態や諸部族の活動記録に及ぶ。古蜀王国や秦時代の施政については『史記』に記されない。
また、前漢末から魏晋時代に割拠した公孫述、劉焉・劉璋父子、劉備・諸葛亮ら蜀漢の人物、成漢の李特・李雄らについては『後漢書』・『三国志』・『晋書』よりも豊富な材料を提供する。
版本間の異同が大きく、未だ定本のない難解な一書の現代日本語訳に、第一人者が挑んだ労作。
目次
序
第一章 巴志・漢中志―各地方の記録(一)
第二章 蜀志・南中志―各地方の記録(二)
第三章 公孫述劉二牧志・劉先主志・劉後主志―華陽を繞る興亡史(一)
第四章 大同志・李特雄期壽勢志―華陽を繞る興亡史(二)
第五章 先賢士女總賛上・中・下―華陽の人々(一)
第六章 后賢志―華陽の人々(二)
第七章 序志・益梁寧三州先漢以来士女目録―『華陽国志』とは
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
13
三星堆絡みの神話と三国蜀の人物の印象が強い書だが、こうして通読してみると、秦の李冰に関する記事があったり、公孫述政権に関係する人物が意外に多く紹介されていたり、成漢の李氏政権の話で結構紙幅を割いていたりと、それ以外の時期の話が気になってくる。民話と歴史が融合したような、前漢の頃の竹王の話も面白い。難点を挙げると、翻訳者序文とは別に巻末に本書のもう少し詳しい解説・解題があればなおよかった。2023/03/19
BIN
5
いわば蜀の地方誌である華陽国志の完訳版。大きく分けて①地理史(県レベル)②本紀③人物賛④人物列伝という感じです。③は列伝というほど詳しくなく数行書いている程度で女性もあります。④は孔明死後くらいの蜀の人材の列伝という感じで三国志好きな人にはこんな人物いたのかと教えてくれて良かったです(もしかしたら晋書に書いてるかもしれませんが)。2023/05/18