内容説明
人類共通の課題、気候変動。各国はこれを解決すべく、温室効果ガスの排出削減を目標に掲げ2015年にパリ協定に合意した。しかし17年、トランプ米大統領が協定脱退を宣言。中国やインドなど新興国が条件闘争をはじめ、国際協調が動揺している。本書は米国、欧州、新興国の利害が錯綜する政治力学を、産業、貿易、金融、エネルギーの観点から解き明かす。激しい国家間対立の終結を目指して、世界、日本が進むべき道とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
26
人類共通の課題、気候変動を解決すべく、温室効果ガスの排出削減を目標に掲げ合意したパリ協定。激しい国家間対立の終結を目指して、世界、日本が進むべき道を探る1冊。トランプ大統領就任後から揺れる米国の方向性、削減目標外交を巡る各国の思惑と揺らぐ協調、米国のインフレ抑制法から広がる波紋、EUが定めたタクソノミーとブリュッセル効果、G7先鋭化と日本の苦境、分断されている新興国の抵抗など、どこまでも政治抜きには語れない状況で日本がどのような方向を目指すべきか、これまでの経緯とこれからを考えるいいきっかけになりました。2024/07/26
おせきはん
24
米国のインフレ抑制法、EUの炭素国境調整メカニズムをはじめ、気候変動対策をめぐる最近の政策のポイントがまとめられていて、論点を理解する参考になりました。2024/08/12
預かりマウス
6
環境関係の条約や会議に係る様々なアクロニムが出てきて煩瑣ではあるが、それでもわかりやすい内容であった。保守界隈では気候変動等は陰謀論的に、いかがわしいものとして捉えられる場合も多いが、本書では気候変動を前提とした上で各国が様々な思惑から(他の分野同様の)外交交渉に臨んでいることがわかる。本書を読み終えてもグリーン「戦争」というほどの特筆すべき激しい駆け引きが行われているという印象は抱かなかった。日本が他のG7の国に比すると資源配賦や原発事故の来歴上、火力に頼らざるを得ずかなり苦しい立場にあることがわかる。2024/12/01
Tomozuki Kibe
5
環境問題についての各国の思惑が入り混じる。日本はアメリカの属国・アジアの一国・資源小国と様々な立場。アメリカはいっそ共和党のほうがぶれないから相手にしやすい、てのは面白い。難しい本ではないが各種略称・用語が飛び交うので索引が欲しい。IRAてアイルランドの話かと。その旨、電子書籍のほうが読みやすいだろう。2024/09/26
朝露
5
気候変動を巡る国家間の協調、対立、妥協がわかりやすくまとまっていて、日本の立ち位置や役割も再認識しつつ、環境問題に対する世界の潮流を概観することができた。国際政治や国際社会に働く力学を考察するのは面白いと感じた。2024/09/03