内容説明
「母ちゃんは、物事がうまくいってないときに俄然生き生きしてくるね」
福岡の80代父(職人肌)とイギリス人息子(思春期)の謎の意気投合、トラック運転手の夫と福岡の母が同時に重病に――
予想外の事件が舞い込む珠玉な日常を、ガッツと笑いで楽しむ英国在住作家のド根性エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
202
ブレイディみかこは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、コロナ禍のロンドンのエッセイ集でした。著者はZOOMが苦手の様ですが、私も同様です。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2024/06/005796.html2024/07/28
読特
94
母親の最後の言葉は「さよなら!」。泣かされた生前。どんな家族にも裏話がある。そこは書かれていない。… 強い外出制限の英国ロックダウン。入院治療中の連合いがコロナに罹り、自分も感染。連合い手術のときに、母の寿命の絶望連絡。…コロナ明けの帰省。便が遅れてトランジットが失敗。振り替え便も空港門限で引き返すことに。どんなトラブルも軽快な語りで読者を楽しませてくれる。その奥にあるものを想像し、思考する。…本書の記載は2024年3月まで。息子が18歳になり、遠くの大学へ。連合いは再度の治療に。エッセイは続いて欲しい。2024/07/21
ネギっ子gen
81
【プライトン-福岡間の定例スカイプ会談はいつも1時間半ぐらい続く。たくさん喋ったのに、隠蔽されている事実がある。家族とは、そういうものなのだ】80代父と思春期息子の意気投合、夫と福岡の母が同時に重病に――。日常に転がるシーンを綴ったエッセイ。<勢いよく転がり続ける人生には、後に残してくる人が存在するのだ。「さよなら!」はわたしと母の関係性を象徴する言葉に思えた。そして今回の別れが最後になると直感したので、タクシーの中で、地下鉄の中で、飛行機で、もう再起不能になったかと思うぐらいにわたしは泣いた>、と……⇒2024/09/01
たいぱぱ
64
『ぼくはイエロー…』を読んで、その視野と思考の広さに感銘を受けたみかこさんのエッセイ集。お母さまが亡くなられた時の話は母の事を思い出して切なかった。母が自分の事を認識してくれてないなんて、この上なく切ないもんなんですよね…。ペットの名前がどんどん省略されて渾名みたいになって、最後には原型留めてない話はめっちゃよくわかって笑った。実家で飼っていた黒柴はクロ→クックちゃん→クーと変化していきました。原型残ってると思われますよね?本名はオレオなんです。家族会議で名前決めたのに姿みるとクロと呼んじゃってました🤣2025/04/25
いち
47
思い返せば何をやっても何処へ行ってもトラブル続で、何一つスムーズに行かないのが私の人生だった筈、久しぶりに私の人生が私の手に戻って来た、考えようには、、これは言祝ぐことではないのか、、、伝わって来るフライトトラブルにこの程度なら、、と水に流そうとする著者が人生を納める言葉がいい。通じるものがある。私もそうだ。改めてジタバタしない寛容さもこの作者から学ぶ事は多い。 致死率と恐れられたコロナも環境保護を同時に守るロックダウンも生きる為に必死だった事すら懐かしく既に忘れてる。→続く2025/06/15