内容説明
戦いはいつまで続くのか、
そして、紛争は世界に何をもたらしたのか
2023年10月7日のハマースなどによるイスラエルへの越境攻撃は、世界に衝撃を与えた。いまもなお、混迷を深め、収束が見えないガザ情勢とイスラエル・パレスチナを取り巻く国際関係を気鋭の研究者が分析する。この紛争は国際社会に何を投げかけ、私たちはどのように向き合っていくべきなのか?
【主要目次】
序 10.7が中東地域に及ぼす影響(池内恵:東京大学教授)
Ⅰ イスラエル・パレスチナ情勢
1.緊迫するガザ情勢と今後の見通し(鈴木啓之)
2.イスラエルの平穏を破ったパレスチナの絶望(錦田愛子:慶應義塾大学法学部教授)
3.イスラエルの世論はどう動いたか(保井啓志:同志社大学研究員)
4.ガザの陰に隠れた苦境(山本健介:静岡県立大学国際関係学部講師)
Ⅱ イスラエル・パレスチナを取り巻く国際関係
5.感情とプラグマティズムの狭間で(今井宏平:アジア経済研究所)
6.石油武器戦略から仲介外交へ(掘拔功二:日本エネルギー経済研究所中東研究センター)
7.ガザ危機とアメリカ(三牧聖子:同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科准教授)
8.イスラエル・ガザ紛争と国際人道法(新井京:同志社大学教授)
9.国際連合とガザ情勢(江﨑智絵:防衛大学校准教授)
10.日本の対中東・パレスチナナ政策の展開(酒井啓子:千葉大学特任教授)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
15
この戦闘に名前はまだついていない。筆者は学生とのやりとりで、国際法を準拠していないこの戦闘を「戦争」と呼ぶことに忌避があるからではないかと感じる。イスラエル世論で、イスラエルの未来は明るい、この戦闘は正しいにそれぞれ65パーがイエスと答えていたとのことで、35パーも反対がいることを寿ぐべきなのか、世論がコントロールされてなくてすごいって思うべきなのか、ちょっと分からない。2024/09/07
hata2
1
2023年10月7日のイスラエルへの越境攻撃から約半年経過した時点での国際政治への影響についての一般向け小論集。素人の目から見て、あまりにも複雑で、どのような所に落ち着くのか想像が出来ない。2025/03/02
ゼロ投資大学
1
2023年10月7日は中東の国際政治が新たな段階に移行したことが世界に明らかになった。ハマースによるイスラエル領土への越境攻撃が、国際政治と中東地域に与えた影響の全貌はまだ可変的である。イスラエルとパレスチナは長い歴史の中で、両者の主張と正義が相容れないものとなっており、合意に至ることは容易ではない。2024/08/28
スナットスナギツネ
0
良書。『ガザとは何か』から更に一歩理解を深めるうえで大変役に立った。中東以外の国や国連との関連が扱われる章や、国際法の観点からの冷静な分析がされる章などは『ガザとは何か』では埋められない空白を埋めるうえで特に良かった。もちろん自分の理解はまだまだ浅いものだし「完全な理解」などあろうはずもないのでこれからも出来る限り学び続けたいと思うが、その際にこの本で得たものが活かされることは間違いだろう。2024/11/13