内容説明
愛に生き、愛を描いた99年の生涯が結晶した最後の小説集。作家・瀬戸内寂聴が最晩年まで書き続けた、単行本初収録の珠玉作6篇。
●「見るな」…夫の教え子と恋に落ちた私が、椎林の中で出遭ったのは――。97歳の胸中に蘇る、波乱の愛の記憶。
●「ぜんとるまん」…「この女となら死ねる」。出版社の営業部員として実直に生きてきた男は、会議に遅刻した朝、不思議な女性と出会う。
●「燐寸抄」…男がさしだした一本の煙草。私の運命がその夜から軌道を外していくことに、二人とも気づいていなかった。
目次
「見るな」
「ぜんとるまん」
「麋角解」
「燐寸抄」
「命日」
「その日まで」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
彼岸花
35
題名の通り本日は寂聴さんの命日で、レビューを書いている。もう新作が出ることがないのはとても寂しい。本書は最晩年の作品に相応しく、愛に関する短編集だ。自伝的要素が強く、どこまで創作かはわからない。しかし、99歳まで書き続けた事実に敬服するばかりだ。小説家としての意地を見せた作品であろう。登場人物はほとんどが鬼籍の人だが、つくづく愛に生きた方だと実感させられた。恋愛は人間を成長させる。この体験を生かし、僧侶となられてからは、溢れんばかりの愛を残らず掬い取り、私たちに分け与えて下さった。感謝の気持ちを忘れない。2024/11/09
nonpono
31
寂聴「最後の短編集」。最初に何が来るのかなと思ったら、「涼太」か。寂聴が夫も乳飲子を捨て走った涼太か。シンガポールの空港で長いトランジットの時間に、真夜中の空港で知った涼太らしき男の最期を知ったわたしは、虚空を見つめていた。そんな涼太をまた90代で描く、上書きできるのは、寂聴が作家として女として生々しいくらい現役でいられるからだろうか。昔、寂聴が書いた短編よりも行間に滲む色気を感じる。それはわたしが読み手として年を重ねたせいなのか。「ぜんとるまん」も久世光彦を主役とした文章も艶っぽいが、やはり「涼太」か。2024/09/20
千穂
19
瀬戸内寂聴さん、99歳にて2021年逝去。寂聴さん、晩年の作品。ご自身の経験を描かれた物だと思うが、90過ぎても男女を描けるからこそ若く感じたのだろうね。2025/02/09
mitubatigril
12
寂聴さんの最後の作品になるのかな 亡くなる直前まで書かれてた短編集。 寂聴さんにハマって作品を読み漁り寂聴さん🟰晴美さんと知り その時代の作品も読み漁り そして源氏物語を読んだ時には自分が求めてる源氏だと思ったことも思い出す。 この作品も晴美さん時代を思い出すような感じでやはり男女の愛がいくつだろうと描きたいテーマなんだなぁと感じてしまう。 フィクションだろうけどノンフィクションの気がするのは 何故か何だろな☺️2024/08/29
てつろう
12
瀬戸内寂聴さんは2021年11月に亡くなられて、本作品は2000年から2021年に書かれて群像に掲載されていたもの。6つの短編ですべて合わせても132ページととても薄い本。90歳過ぎてからもこのような男女について色々書かれたことについて驚き!副題として六つの愛の物語。2024/07/13
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