内容説明
あなたを、あなたと見上げた空を、わすれない。ーーある冬の朝、カーラは湖のほとりにつもった雪の中に、天使の跡を見つける。そのまわりには足跡ひとつなく、まるでだれかが、本当に空から舞い降りたよう。それが、魔法のはじまりだった。カーラは不思議な運命にみちびかれ、凍った湖のまんなかに浮かぶ島でくらす女の子・レベッカと、その弟のサミュエルに出会う。ところが、レベッカが落としたコインには、学校で第二次世界大戦を習ったときに知った、おそろしいマークが刻まれていた。レベッカとサミュエルは、いったい、いつからここにいるのか。カーラは、そして私たちは、どうしたらふたりを救うことができるのかーー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
82
YA。スウェーデンのストックホルムに住む11歳のカーラ・ルーカスは、森の中で「スノーエンジェル」を見つけた。まっさらな雪の上に倒れ込んで手足を大きく広げた跡には足跡が残されてなくて、カーラはとても不思議に思う。毎日を孤独に過ごすカーラは『トムは真夜中の庭で』を読む。森で出会ったレベッカは時空を超えた存在だった▽過去の人物、ユダヤ人の姉弟を救うことはできるのか▽時空を超えた友情物語。友達のために勇気をだしたカーラの成長がいい。2024.2刊2025/05/03
ぱに
3
寒い冬のスウェーデンの情景が浮かんでくるような綺麗な文章が心に強く残った。カーラが感じるひとりの寂しさ、おじいちゃんの優しさ、レベッカと出会えて親友になれた喜びが瑞々しい。その出会いを経て強くなったカーラと、いじめっ子だったラーズとの新たな友情も心強い。誰かを思い、信じ、繋がり合うことはその人を支え強くするんだなと感じる。おじいちゃんの「私たちの世代のスウェーデンは世界を失望させた。カーラたちの世代はそうはならない」という言葉が印象的。第二次大戦中のスウェーデンの国としての立場などももっと知りたくなった2025/01/05