内容説明
盗賊に村を襲われ、家族も友人も殺され、天涯孤独となった少年・小六。だがその馬術を見出され、彼は吉川元春の軍の中で騎馬隊員として頭角を現していく。一方、毛利に滅ぼされた尼子再興を誓う猛将・山中幸盛(鹿之助)。彼もまた、戦火で友人と愛する人を失い、毛利への復讐に燃えていた。共に戦という理不尽から立ち上がった二人。その譲れぬ思いが、戦場でぶつかる――! 第13回角川春樹小説賞受賞作、選考委員満場一致の感動歴史エンターテインメント!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
281
少し前から気になっていた先品。主人公の小六は創作?だと思うが、相手役に山中幸盛を配置しているのは渋い。ただ、対として描くには二人の年齢や立場が離れすぎている気もした。帯や他の方のレビューで北方謙三氏を連想させるといった言及が多くあり、馬の調練や戦の場面ではたしかに相通ずるものを感じた。ただし北方作品に濃厚に漂う雄度はやや薄め。7月には続編も文庫化されるようで読もうと思ってはいる。しかしこの感じだと、小六と騎馬隊の出番はだいぶ少なくなって、幸盛メインの話になりそうな気配はすでに漂っている。2024/06/30
流石全次郎
8
寄った本屋でキャンペーンをしてた。角川春樹小説賞受賞作。毛利側、尼子側の両視点で描かれていて、個々の視線で物語はすすむ。軸は若き小六でありながらも、各武将の立場や考え方がわかり易く描かれていて、群像劇として読み終えました。続編も文庫版であるのでまた彼らの疾走に会えるのか。2024/07/27
H
7
評判が高かったので読みたかった本。毛利と尼子の戦いの裏にはこんな話があったとはという驚きと、結果は分かっているのにハラハラする展開で一気読み。続編がどうなるのか全く想像がつかないので早く読みたい。2024/07/24
皆藤るみ
4
吉川晃司氏が帯にいらしたのでつい購入。 が、これが大当たり🎯 テンポが良く壮大な景色を感じる素晴らしい小説だった。馬と少年の絆が音や匂いと共に感じられ、それぞれの武将たちの息づかいすら感じられる。 敵味方それぞれの視点から各々の生き様が描かれている。どちらも如何なる状況であろうと鍛錬を怠らず、己が生き抜くためだけでなく、時には軍を守ることに命を張る。正に武士!の姿が目の前に見える様な小説であった。2024/09/01
ぴっちゃん
3
最初は小六が主人公だと思って読み始めたが、途中山中鹿之介(だよね?)が、主人公格で出てきたりして、知識の少ない私にはちょっと読みづらいぶぶんもあつたけど、総じて面白かった。騎馬で山道を駆け下りる小六の活躍は、義経ばり。今後どのように育つのかが楽しみ。ところで、帯にいらっしゃる吉川晃司さんは、吉川家(毛利家)の末裔なのですね。知りませんでした。 2025/06/01