内容説明
音響物理の基礎事項のみならず,聴覚や聴覚心理の基礎に関わる内容や,建築物で利用される電気音響設備についても,建築音響学を学ぶうえで必要な範囲で網羅し,新しい研究成果も踏まえて,建築音響学として必須の事項を解説した。
目次
1.音の基礎
1.1 音波の記述
1.1.1 1次元波動方程式の解(ダランベールの解)
1.1.2 重ね合わせの原理
1.1.3 周波数分析
1.2 音波の分類
1.2.1 スペクトルによる分類
1.2.2 波面形状による分類
1.3 音波の物理量
1.3.1 実効値
1.3.2 比音響インピーダンス
1.3.3 音響インテンシティ
1.3.4 音響パワー・音響出力
1.3.5 音響エネルギー密度
1.3.6 レベル
1.4 音波の性質
1.4.1 反射・吸音・透過
1.4.2 干渉
1.4.3 回折
1.4.4 散乱
1.4.5 屈折
1.4.6 共鳴
1.4.7 放射
1.5 純音の知覚
1.5.1 可聴範囲
1.5.2 ラウドネス
1.5.3 ピッチ
1.6 複合音の知覚
1.6.1 臨界帯域とマスキング
1.6.2 音脈分凝
1.6.3 雑音の知覚
1.6.4 楽音(調波複合音)の知覚
1.6.5 音色
1.6.6 マスクトラウドネス
1.7 音声の知覚
1.7.1 音声の生成
1.7.2 音声の明瞭性
1.7.3 音声の物理特性
1.8 両耳効果
1.8.1 ラウドネスの両耳加算
1.8.2 左右の方向知覚
1.8.3 両耳マスキングレベル差
引用・参考文献
2.室内の音場
2.1 室内音場の特徴
2.2 室内音場の波動的性質
2.2.1 室の固有振動
2.2.2 管内の固有振動
2.2.3 直方体の固有振動
2.2.4 固有振動の分布と縮退
2.3 拡散音場の性質
2.3.1 拡散音場の仮定
2.3.2 固有振動の減衰とシュレーダー周波数
2.3.3 拡散音場を伝搬する音波のエネルギー
2.3.4 拡散音場における壁面への入射エネルギー
2.4 室内音場の残響理論
2.4.1 残響時間と室の吸音
2.4.2 等価吸音面積と平均吸音率
2.4.3 セイビンの残響式
2.4.4 アイリングの残響式
2.4.5 空気吸収を考慮した残響式
2.4.6 拡散音場の残響理論の適用限界
2.4.7 その他の残響理論
2.5 音圧分布
2.5.1 室内平均音圧レベル
2.5.2 音圧分布
2.5.3 Barronの修正理論による音圧分布
2.6 室内音場の測定
2.6.1 残響減衰曲線
2.6.2 測定方法
2.6.3 ノイズ断続法
2.6.4 インパルス応答積分法
2.6.5 残響時間の測定結果の表示
2.7 室内音場における音の知覚と物理指標
2.7.1 室内音場における聴覚事象
2.7.2 ラウドネス
2.7.3 残響感
2.7.4 広がり感
2.7.5 明瞭性
2.7.6 音響障害
引用・参考文献
3.吸音と遮音
3.1 吸音材料と吸音機構
3.1.1 吸音材料の種類
3.1.2 多孔質吸音材
3.1.3 板(膜)振動型吸音体
3.1.4 共鳴器型吸音体
3.2 各種吸音材料の特徴と用法
3.2.1 背後構造の影響と吸音特性
3.2.2 表面仕上げなど
3.3 吸音率の測定方法
3.3.1 音響管法
3.3.2 残響室法
3.4 吸音率の予測方法
3.4.1 吸音材料の特性インピーダンスおよび伝搬定数
3.4.2 吸音材料の吸音率1:垂直入射および斜め入射の場合
3.4.3 吸音材料の吸音率2:乱入射の場合
3.5 新しい吸音材料
3.6 壁体による空気音の遮音
3.6.1 単層壁の音響透過―質量則について―
3.6.2 コインシデンス効果
3.6.3 二重壁の遮音
3.6.4 2室間の遮音問題
3.6.5 ダクトの騒音伝搬とその対策
3.7 固体音・防振・床衝撃音
3.7.1 固体音
3.7.2 防振
3.7.3 床衝撃音
引用・参考文献
4.音響設計
4.1 室内音響設計の基本的考え方
4.1.1 演奏空間の設計
4.1.2 音声明瞭度の設計
4.1.3 スピーチプライバシーの設計
4.1.4 建築空間における吸音の重要性
4.2 室形状の設計
4.2.1 初期反射音の重要性
4.2.2 音場の特異現象と音響障害の防止
4.2.3 拡散体
4.3 残響の設計
4.3.1 最適残響時間
4.3.2 平均吸音率
4.3.3 室容積の確保
4.3.4 壁面材料の選定と吸音計画
4.4 シミュレーションと模型実験
4.4.1 幾何音響シミュレーション
4.4.2 波動音響シミュレーション
4.4.3 音響模型実験
4.5 設計の実際
4.5.1 コンサートホール
4.5.2 講堂・教室
4.5.3 映画館
4.5.4 オフィス空間
4.5.5 スピーチプライバシー
4.5.6 公共空間
4.5.7 住宅の居住空間
引用・参考文献
5.電気音響設備
5.1 電気音響設備の概要
5.1.1 電気音響設備を用いる空間と目的
5.1.2 電気音響設備に求められる機能と性能
5.2 電気音響設備の機能
5.2.1 拡声
5.2.2 明瞭性の向上
5.2.3 音像の操作
5.2.4 残響付加などの音場の制御
5.3 電気音響設備の特徴
5.3.1 スピーカシステム
5.3.2 システムの仕様の例
5.3.3 多目的ホール,コンサートホール,劇場における電気音響設備
5.3.4 このほかの建築空間における電気音響設備
5.4 電気音響設備の評価
5.4.1 測定項目と概要
5.4.2 測定点の設定―受音点の設定―
5.4.3 試聴の重要性
参考文献
索引