ハヤカワ新書<br> 倫理資本主義の時代

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ハヤカワ新書
倫理資本主義の時代

  • ISBN:9784153400283

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内容説明

資本主義は環境破壊や貧困など様々な問題を引き起こしているが、脱成長では立ち行かない。改善のために必要なのはその放棄ではなく「倫理」の組み込みだ――今最も世界の注目を集めるスター哲学者が語る「倫理資本主義」の理論と具体策の全て。日本書き下ろし

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

131
社会主義の失敗は明らかだが、資本主義もトランプ現象など政治的分裂をもたらして行き詰まっている。この状況を打破すべく斎藤幸平氏らは脱成長コミュニズムを主張するが、ガブリエルは金儲け全肯定の新自由主義から倫理資本主義への移行を提言する。マルクス主義者は格差解消を求めるが、欲にまみれた人間は自分だけ裕福になるのを躊躇せず停滞と貧困をもたらす。ならば道徳的に優れたビジネスへの転換で、妥協と調整により穏やかに共存する社会を目指すわけだ。ただ、その手段として子供の政治参加を提案するが、却って過激に流れかねないのでは。2024/10/12

GX

18
渋沢栄一「論語と算盤」を思い出しました。ぐるっと回って、今、もう一度、最先端のコンセプトに近づいているのかも知れませんね。「最高哲学責任者(CPO)」というアイデアも面白かったです。「データ不正」が頻発しているなか、実務レベルの「品質管理」でなく、もっと深いレベルで企業文化の改革が必要なのかも知れませんね。2024/09/29

速読おやじ

18
倫理資本主義のタイトルだけで自分としてはストンと腹落ちする。脱成長ではない。倫理上正しいことをした方が利益も上げられる。この考え方は日本人なら一定の人が頷くのではないか。奴隷制度が廃止されたように、道徳的事実は進化する。後半では子どもに選挙権を与えるべきだとの興味深い主張も。子どもの介入で道徳的進歩が起こるという。いま起きている戦争について子どもに意見を聞いてみればいい。道徳的に正しい意見を言う筈だ。道徳的価値と本質的に結びついた経済的剰余価値生産をリカップリングすることは可能だという。難解だが面白い!2024/08/12

ceskepivo

14
著者の主張はこうだ。「倫理と資本主義は融合できる。資本主義のインフラを使って道徳的に正しい行動から経済的利益を生み出し、社会を大きく改善することは可能だし、またそうすべきだ」。哲学が実社会から離れたものという指摘を受けて久しい。しかし、哲学、倫理は、人間が試行錯誤しながら、良い社会を作るために築いた資産。これに資本主義を融合させることによって、ひとりでも多くの人が幸福を感じる社会を作れるというのもあながち夢物語ではない。だって、感じのいい店員さんがいるお店には、お客さんが集まるでしょ。2024/08/14

武井 康則

12
もともと資本主義という思想やシステムはない。今の時代を変えるために資本主義に倫理を導入すべきというが、各人がそれぞれのレイヤーに生き、各人の倫理がある以上(共通の倫理があると著者は言っているが)無理ではないか。今飢えている者に倫理を守れと言えるのか。大企業その他の上層にしか当てはまらない提言。今の状況は有力な企業さえ抑えれば何とかなるものじゃない。貧困と戦争とテロと虐待とハラスメント、差別、排斥、分断。企業が変わって資本が上手に回れば解決するものじゃないだろう。2024/09/25

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