読者に憐れみを

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読者に憐れみを

  • ISBN:9784845920037

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内容説明

『スローターハウス5』『タイタンの妖女』などで知られる戦後アメリカを代表する作家、カート・ヴォネガットの「書くこと」と「人生について」

辛辣で、機知に富み、心優しきニヒリスト、ヒューマニストで、教師としては熱血漢、「書くことは魂を育むこと」を生涯の信条としたヴォネガットの教えを、彼自身の言葉と小説の引用、そして周囲の人々の談話からまとめた、「ヴォネガット流・創作指南+回顧録的文章読本」が生誕100年を記念し、待望の邦訳!

「本書の各所に引用されるヴォネガットの助言を読むうちに、自分にも小説が書けるという気持ちになってくる。それはとても苦しいものであることをヴォネガットが強調してもだ。何度も書き直し、声に出して読み、読者の負担を最低限にするべきことを繰り返し言う。でもしかし、その人にしか語りえないことというものがあるのだ。」
――円城塔(作家)

本書では、彼の教え子であったマッコーネルによるヴォネガット自身の言葉と実際の作品の引用から、作家としての苦闘や、戦争体験や母親の死など、彼の人生に生涯つきまとった「影」、戦後の時代精神を体現するベストセラー作家となった成功の秘訣のほか、「つねに学び、つねに教えていた」という教師としての素顔が丁寧に分析され、余すところなく説明される。

さらに、文章や物語を書く際に必要な原動力、才能、想像力の飛躍、勤勉さ、反省、ブラックジョークについて、生計を立てること、心身のケア、はたまたコミュニティの重要さにいたるまで、さまざまな角度からユーモアを交えながら真摯に語られる。加えて、物語はどこから生まれるのか、冒頭部の書き方、プロット、登場人物の書き方、耳で聞く文章と目で見る文章の違い、見直しと校閲などのコツとテクニックについても惜しげもなく披露される。その驚くほど実践的なアドバイスは、作家志望者のみならず、文章を書く時に悩んだことのある人、何かの課題と格闘して自分は無能だと感じているすべての人の心に突き刺さるだろう。ヴォネガットの手稿や実際の原稿、メモ書きや、出版社からの手紙なども多数収録した、ヴォネガットファン必見の一冊となっている。

ちょっと風変わりで、だけど読むと書き続ける勇気が湧いてくる、カート・ヴォネガットの教えを一冊にまとめた、創作指南+回顧録の決定版。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

10
作者に大学で教わった作家が作者の作品、手紙、タイプ原稿から創作に関する逸話を取り出して37章にまとめた本書は、読者の着眼点次第で、創作講座、自伝エッセイ、紙上での作者と弟子の対話のように読める。興味深いのは、テーマへの強い思いが書くことを継続するモチーフになると言う作者自身が、悲惨な体験を作品化するまで長い曲折を経て、笑いにくるんでやっと形にしたという点だ。それゆえ作者は、作家は多様な形式を施した小説を読む読者に憐れみを持つべきだと言い、本書の言葉を読む読者には、読むことも難しい技術なのだと言外から囁く。2023/07/10

maimai

10
副題やオビから連想されるような「創作指南」や「文章読本」の要素よりは、むしろ「ヴォネガット名言集〈小説論編〉」といった趣きが強い。ヴォネガットのファンにはお薦めだが、作家志望の人々の参考にはあまりならないように思う。もちろん僕は堪能した。ただ、読者の間では有名な文章やフレーズ、あるいは作中の固有名詞の表記を、既訳を参照せずに変更するのいかがなものか、とは思った(「オヘア」→「オウヘア」、「そういうものだ」→「そんなものだ」など)。2022/07/15

ギンテマリン

7
600ページある大著なのに、スラスラ読めて、面白かった。ヴォネガットって、優しい人だったんだなあ。作家志望の人にも、また小説を読む人に対しても、彼が憐れみを持って言葉を発していることがわかる本。2024/11/17

iwtn_

6
タイトルの通りの内容。一応、著者はカートではない。ハヤカワの文庫を大体と河出の短編集を2つ程読んでいたし、最近は仕事でも文章を書くことが増えたので、いつか読んでやろうと思っていたのを購入。まずは自分が興味を持てる対象を見つけることが大事とのことだが、それは既に身についていると思えたので、過去の読書の賜物か。引用や余白が多いので、本のサイズにしてはスラスラ読み進んだ。とはいえ、丸一日は使ったけど。エッセイには手を出していなかった作家だが、このご時世を考えるとそちらも読んでみるのも良さそうと思えた。2024/01/05

種蔵珪也

3
文章読むのは高等技術なので読者を憐れんでわかりやすく書こう、がタイトル。 収入のところは文章書く人間だけでなく俗に言う芸術系で自分の生活費稼ぐのが難しいと思ってる人は全員読んだ方がいい。2023/01/29

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