ブルーバックス<br> 宇宙はいかに始まったのか ナノヘルツ重力波と宇宙誕生の物理学

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ブルーバックス
宇宙はいかに始まったのか ナノヘルツ重力波と宇宙誕生の物理学

  • 著者名:浅田秀樹【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2024/06発売)
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  • ISBN:9784065359044

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内容説明

謎の「ナノヘルツ重力波」は、宇宙誕生の痕跡なのか!?

2023年、世界に衝撃を与えた国際研究チーム「ナノグラフ」の報告。
それはある重力波の存在を捉えたというものでした。
発見された重力波は、ナノヘルツ(ナノ=10のマイナス9乗)、つまり数年もの非常に長い周期の、超長波長の重力波でした。

この観測プロジェクトで使われた手法は「パルサー・タイミング法」というものです。
電波星ともいわれる「パルサー」から送られてくる電波を観測することで、宇宙の空間の歪みを検出するという手法が、この「パルサー・タイミング法」です。

では、このナノヘルツ(超長波長の)重力波はどこで生まれたのか?

・宇宙のはじまり、ビッグバンより前に起きたとされる「インフレーション」によって空間が引き延ばされたさいの痕跡「原始背景重力波」。

・銀河の中心「活動銀河核」に存在する太陽質量の数万倍といわれる「超巨大なブラックホール」が合体した。
といった候補が考えられています。

これまで謎とされていた「宇宙のはじまりの姿」。
その痕跡を見ることが人類にとって現実のものとなりはじめました。

本書では、その背景にある宇宙論を、重力とは何か? アインシュタイン方程式とは? そして宇宙のはじまりはどのように考えられてるのか? 
ひとつずつ段階を踏みながら解説し、「ナノグラフ」によって行われた「パルサー」を用いた宇宙空間の精密観測「パルサータイミング法」と今後の観測計画。そして15年以上にもわたる「パルサー・タイミング・アレイ」による観測の結果から、この謎の超長波長の重力波「ナノヘルツ重力波」の正体に迫っていきます。

宇宙の誕生に迫る宇宙論と観測の最前線をていねいに解説します!

序章 ナノヘルツ重力波の衝撃
 謎の重力波とパルサー・タイミング・アレイ
1章 重力とはなにか……空間そして時間の歪み 
 コラムメジャーリーグ投手の放つ重力波 
2章 重力波望遠鏡……宇宙を見る新しい目 
3章 連星パルサーの謎……電波天文学と中性子星
 コラム 重力波に縦波成分は存在するのか? 
4章 宇宙誕生の痕跡とは……インフレーション理論と原始背景重力波
5章 巨大ブラックホールの謎……宇宙の歴史を探る
 コラム 「特異点定理」の数理
6章 超波長重力波を捉えるには……パルサータイミング法と宇宙の謎
7章 もう一つの重力波観測……位置天文学で見える宇宙
8章 宇宙のはじまりを見る……超長波重力波の正体と未来の宇宙観測

目次

序章 ナノヘルツ重力波の衝撃
謎の重力波とパルサー・タイミング・アレイ
1章 重力とはなにか……空間そして時間の歪み
1…1 ケプラ…、ニュートン、そしてアインシュタイン
1…2 二つの相対性理論
1…3 アインシュタイン方程式の誕生
1…4 重力で光が曲がる
1…5 重力波とはなにか
コラムメジャーリーグ投手の放つ重力波
2章 重力波望遠鏡……宇宙を見る新しい目
2…1 重力波の特性とは
2…2 重力波のもう一つの性質
2…3 ブラックホールの合体が見えた
3章 連星パルサーの謎……電波天文学と中性子星
3…1 偶然が生み出した新しい天文学
3…2 電波シグナルは、どこから来るのか?
3…3 中性子星の誕生
3…4 中性子星の強烈な磁場
3…5 ミリ秒パルサーの発見
3…6 連星パルサーからの証拠
3…7 一般相対性理論は正しいのか!?
3…8 パルサータイミング法の着想
3…9 天体最高精度の時計
コラム 重力波に縦波成分は存在するのか?
4章 宇宙誕生の痕跡とは……インフレーション理論と原始背景重力波
4…1 宇宙の膨張の発見
4…2 宇宙はじめの元素
4…3 ビッグバン理論とよばれて
4…4 原子核物理学から素粒子物理学へ
4…5 ビッグバン以前の宇宙
4…6 ビッグバン理論の問題点
4…7 大統一理論に向かう
4…8 インフレーション宇宙論の利点と課題
4…9 原始背景重力波=引き伸ばされる時空の歪み
5章 巨大ブラックホールの謎……宇宙の歴史を探る
5…1 凍りついた星
5…2 アインシュタイン方程式のある厳密解
5…3 結局、何が凍りつくのか
5…4 ブラックホールを作る理論
コラム 「特異点定理」の数理
5…5 巨大ブラックホールの発見と謎
5…6 太陽質量の約10億倍の星「クェーサー」
5…7 宇宙の歴史と巨大ブラックホール誕生の謎
6章 ナノヘルツ重力波を捉えるには……パルサータイミング法と宇宙の謎
6…1 重力波とパルサーのまたたき
6…2 複数のパルサーを観測する意義
6…3 パルサータイミング法への道
6…4 PTAが見つけた宇宙の謎
6…5 パルサータイミング法の今後への期待
7章 もう一つの重力波観測……位置天文学で見える宇宙
7…1 地球の公転と星までの距離
7…2 遠い天体を調べるには
7…3 銀河系内の星の運動を測る
7…4 地図の「ぶれ」から重力波を探す
7…5 今後の衛星観測計画
8章 宇宙のはじまりを見る……ナノヘルツ重力波の正体と未来の宇宙観測
8…1 謎の超長波長重力波の正体は
8…2 重力波の振幅から重力源を調べる
8…3 宇宙で観測する重力波
8…4 宇宙のはじまりを見る
あとがき
さくいん

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HaruNuevo

32
科学とは浪漫なのだと文系脳の自分は益体の無い感想を抱いてしまう。 ビッグバンの直前に宇宙の始まりとして起こったのではと考えられているインフレーション、その証拠となるかもしれないナノヘルツ重力波。宇宙の開闢の理論を紹介しつつ、その証拠を検出するための超先端技術、見込まれる(期待される)成果を紹介していく。 自分が生きてる間にどれだけ新しいことがわかるんだろう。2024/09/29

tom

15
標題についての議論の本なのかと思ったのだけど、書いているのは「ナノヘルツ重力波」をどうやって検出するのかについてだった。そのための説明は多々あるものの、この重力波を見出したら何が分かるのかについての議論は、私の読んだ限りでは見当たらない感じ(読み落としたかもしれないけど)。ここが分からないから、期待外れで終わる。それにしても、現代物理学というもの、ほんとうに巨額の金を投資している。夢とロマンは大きいし、今後どんな展開になるのかと期待はいっぱいだけど、それにしても巨額だなと・・・。2024/07/11

akiakki

5
パルサータイミング方や位置天文学といった最新の重力波検出の理論や技術が紹介されており、同ブルーバックスの「重力波とはなにか」で読んだ知識がブラッシュアップされました。LIGOの干渉計を使った方法が検出の唯一の方法だと思っていたので、一度「重力波が存在する」ことが観測できると新たな観測理論が加速されるのかも。2024/07/08

女神の巡礼者

4
ナノヘルツ重力波って何?という好奇心を抑えられずに読みました。内容は、2023年に謎の重力波、ナノヘルツ重力波が存在する証拠が見つかったというニュースに始まって、それが宇宙の始まりのインフレーションの証拠かもしれないという解説が続きます。といっても、その分野の研究はスタートしたばかりで、今のところ何かを断定するに至ってはいないようですが、その重力波検出のためにパルサーを利用するとか関連情報も興味深かったです。そして個人的には、まだインフレーション=ビッグバン宇宙論は未完成なのかなという感想でした。2024/09/26

くらーく

3
ちょっと私の基礎知識が足りなくて、流し読みしてしまった。なかなか新しい知識は入ってこないね、残念ながら。でも、第4章はきちんと読んだ。本書は、頭から最後まで、知識が連続している事が前提なのよね、たぶん。何か高校の授業を思い出すわ。一度、どこかで躓くと、後の理解が進まない感じ。時間はあるのだから、じっくりと読めば良いのだろう。でも、もう少しやさしい本を読んでから、再チャレンジだな。2025/03/20

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