内容説明
高校1年生の坂平陸は、ある日突然クラスメイトの水村まなみと体が入れ替わってしまう。どうやら一緒にプールに落ちたことがきっかけのようだ。突然のことに驚き、戸惑いながらも入れ替わったことはお互いだけの秘密にしようと決めた2人。しかし意外やそつなく坂平陸として立ち振る舞うまなみに対し、陸はうまく水村まなみとして振る舞えず、落ち込む日々が続く。まなみの家族との距離感、今まで話したこともなかったまなみの友達との会話、部活の顧問からのセクハラ……15年間、男子として生きてきた自分が、他人の人生を背負い女性として生きること。いつか元に戻れる日を諦めきれないまま、それでも陸は高校を卒業し上京、そして結婚、出産と、水村まなみとしての人生を歩んでいくことになる――入れ替わった後の15年を圧倒的なリアリティで描く、第12回小説野性時代新人賞受賞作!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kanonlicht
90
高校1年のときにクラスメイトと入れ替わり、突如として他人、しかも女性として生きることになった主人公(心は男性)の視点で語られるその後の人生。同じ秘密を共有する同士として心強くも、体の本来の持ち主に対する遠慮や負い目を感じざるを得ない主人公の心境が生々しくて、心を打つ。よくある設定だけれど、ジェンダーギャップに終始せず、決別と再生をテーマにしているのがいい。確かに女→男のほうが、その逆よりもまだ対処できそう(相手によるか)。2025/06/26
背番号10@せばてん。
61
【2021_小説野性時代新人賞】私の入れ替わりモノの起点は大林宣彦監督の『転校生』です。ただその映画でも、男女が入れ替わるのは、ある期間に限定されたものでした。ですが、本書はまず15年はそのままであることが、最初の章で明かされています。水村さんが違和感なく戻れるよう迷走する坂平陸。坂平くんの体で自分を生きようとする水村まなみ。やがてそれぞれの道を歩み始める二人の距離感は、他の入れ替わりモノとは一線を画しています。陸視点で物語が閉じたあとのアナザーストーリー。本篇では描かれない、まなみの哀しみが刺さる。2026/02/12
はっせー
60
選書本。皆さんは男女逆転したらどうしますか?おそらくこの手の質問はもう何年も存在するだろう。あれしたいとかこれしたいとか色々と考える。しかしその答えはあくまでも最後は元に戻ることを前提としている。しかし本書は違う。15年経っても戻ることはなかった。本書はある男子高校生と女子高校生が入れ替わるお話。そして15年経った30歳でも元に戻ることをなかった。話の構成としては30歳パートと過去パート(15歳~30歳)を交代交代展開していく。女性の方が読んでどう思うかが知りたい!2024/07/28
だーい
56
中身が入れ替わってしまったまなみと陸、彼らの15年が丁寧にリアルに描かれていて終始切ない気持ちになった。何かが変わってしまうことが苦手な陸が何もかも変わってしまい、絶望や葛藤を抱えながら生きていく様が苦しくなる時もあったが、水村まなみという存在があるおかげでどうにかこうにか生きてこられた。互いを思いやる気持ちを表しているタイトルもすごくいい。抱えているものが重すぎて押しつぶされそうになることも生きていく上である。お互いを思い計り絶望も希望も全部一緒に抱えて前を見ようとする二人をいつまでも忘れないだろう。2024/07/12
F
47
ベースとなる設定はよく聞く設定ですが、やはり一筋縄ではいかない。入れ替わったままその後の人生を送らなければいけないというのは、実際に想像すると本当に残酷な事だと思いました。それぞれがそれぞれの人生を奪い合っているはずなのに、それぞれが支え合って生きている。不思議な関係だと思いました。どんな終わり方をするのかと楽しみに読み進めましたが、爽やかな気持ちになりました。映画化予定との事で楽しみにしています。2024/08/21
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